2021.9.2

「司法をひらく」ポスターは幻か

日本初の駅貼り裁判告知をやろうとしたけれど

たぶん日本初、公共訴訟の期日告知ポスター

▼ 裁判告知ポスター(画像保存&シェア歓迎!)

選挙があります、投票しましょう、というポスターが選挙になるとあちこちに貼られます。しかし、本来選挙と同じくらい重要な、制度を作ったり変えたりするための公共訴訟については、いつどこで行われているかほとんど知られていません。公共訴訟の情報ももっと広く知られるべきだ、と考え、訴訟期日を知らせる告知ポスターを作って、駅に貼ることを計画しました。

<幻のポスター完成図イメージ(本画像・本ページ上部のバナー共に合成)>

こんな感じです。
まずは東京地方裁判所・高等裁判所がある東京メトロ霞ヶ関駅をこんな風に訴訟告知ポスターでジャックして、これを直接見た人、それがSNS等を経由して伝わった人に、こうした公共訴訟の存在を知ってもらい、期日に足を運んでもらおうと考えました。

幻のポスターに

しかし、残念ながら、これは実現できませんでした。
入稿したのですが、東京メトロから、これは意見広告であり、また係争中の案件に該当するために、掲載はNGと言われてしまい、色々試行錯誤したのですが、結果掲載できませんでした。「#私たちは声をあげる」のCALL4についてのポスターだけが許可され、貼られています。

<実際の霞ヶ関駅構内のポスターの様子>

確かに、どのようなメッセージは掲載して、どのようなメッセージは掲載しないのか、その判断基準は簡単ではないかもしれません。しかし、例えば国民的に大きな議論となるオリンピックを推進し協賛するメッセージは掲載されるのに、今回のようなメッセージは掲載されないというのは公平な基準かという疑問もあります。結果的に多数意見を形成していないと、マスに届く場でメッセージを告知することも制限される、ということになるのではなかろうかといったことも考えます。もしかしたら、これも、この社会で「声をあげる」ことの難しさを象徴する出来事なのかもしれません。

仕組みの問題、経済的・労力的負担、同調圧力、あるいは手段へのアクセス。声をあげる、ことには幾多もの困難が伴います。だからこそ、私たちは、声をあげた人たちを、これからも応援していきたいと思います。

やっぱり幻にしないために

たぶん日本初、公共訴訟の期日告知ポスターを東京メトロの霞ヶ関駅に貼り出すという計画は幻となってしまいました。悔しいなぁ、数日そう思っていましたが、ポスター自体を幻にしなくてもいいじゃないかと思いました。

そう、幻のポスター、駅には貼れませんでしたが、皆さんのSNSには貼れます。皆さんがシェアしてくれたら、霞ヶ関駅に掲示した時より、もっと多くの人に届かせることができるかもしれません。
皆さん、是非シェア・リツイートにご協力をお願いします!一枚一枚のポスターはこのページの一番下部から画像保存できます。良識の範囲でご自由に活用ください。

<唯一審査に通ったCALL4メッセージポスター>
※こちらも画像保存&シェア大歓迎!
※本キャンペーンのクリエイティブを担当された牧野圭太さんからの、駅貼りポスターにまつわるメッセージもぜひご一読ください。
声をあげられなかった広告たち。

▼ 裁判告知ポスター(画像保存&シェア歓迎!)


付記:なぜ「司法をひらく」必要があるのか

ちょっと長くなるので、以下は付記の形にしました。なぜ公共訴訟がもっと知られて活性化されるべきなのか、なぜ「司法をひらく」必要があるのか、疑問に思った人は是非続きをお読みください。

政治の機能不全の時こそ司法の出番

この社会のさまざまなことは、法律によって定められています。そして法律を作るのが国会、作られた法律を執行するのが内閣を中心とする行政です。
しかし、基本は最大得票者総取り原理の小選挙区制と、政党政治を基本とする今のシステムの中で、作られた法律やその解釈適用が、社会のニーズに合致していなかったり、自分たちが自分たちらしく生きることを阻害していると感じていたりする人たちも多くいます。
また、選挙における勝ちは全権委任ではないのに、政府や立法府は説明責任を果たしていないと感じる人も少なくないように思います。

三権のうちの残る一つ、司法は、本来そうした時に作動する権力です。訴訟は1人でも起こせる。少数意見であっても、作られた法律自体が、あるいは法律の執行がその人たちの権利を侵害している時、司法は国会や行政に対してそれを是正することを命じることができるのです。近代では、こうしたチェック&バランスの仕組みは、この社会を良くしていくために不可欠のものとして認識されてきました。当然日本でも採用されている仕組みです。

司法をひらく意味

ところが、気がつけば、司法は多くの人にとって縁遠いものとなっていました。「訴訟」や「司法」と聞いた多くの人たちが、これを堅苦しいとか、自分たちと関係ないもの、と感じるようになってしまいました。報道でも、いわゆる「政治」についてはその登場人物も含めて詳細に知らされるのに、司法については、時々、大きな事件の判決が報道されるくらいです。

私たちは、政治の機能不全が目立つ今だからこそ、この司法をもっと活性化させる必要があると考えています。司法をもっと社会にひらくこと、裁判所で起きていることをもっと多くの人が知り、関心を持ち、議論し、時に応援する、そうしたことを促進することが求められていると思います。

でも、どうやって?

CALL4では、社会課題の解決を目指して起こされた訴訟について、原告のストーリーを配信したり、訴訟の場で交わされている訴訟資料をアップすることで、その透明化を図ってきました。でも百聞は一見にしかず、その訴訟に込められたもの、交わされている議論は、一度裁判を傍聴することでぐっと身近になり、理解できます。しかし、いつ、どこで何の裁判をやっているか、その情報が簡単に手に入らないのです。当事者から聞いたり、裁判所に直接出向いて調べたりしないと、何が行われているのか分からないのです。

だったら、CALL4が広く告知しよう。CALL4はそのサイトに取り扱いケースの期日を告知する「期日カレンダー」を設置しました。
そして、さらに、ウェブサイトを訪れない人にも勝手に知らせてしまおう。きっとそうしたら、気になって見にくる人もいるはずだ、そう思って、駅にポスターを貼ることを考えついたのです。

まだまだ続けます

残念ながら今回はこの思いを形にすることはできませんでした。でも諦めはしません。困難の数だけ、創意工夫があり得ると思っています。色々な試行錯誤を続けたいと思います。皆さんの口から司法が希望の文脈で語られるようになるその時まで。

裁判告知ポスター(画像保存&シェア歓迎!)

ぜひハッシュタグ「#私たちは声をあげる」と「#CALL4」をつけて拡散をお願いします。皆さんの発信が原告への励ましや、訴訟への応援になります。

<結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)>
9/2(木)15:00- @東京地裁103号法廷
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<クルド難民収容者暴行被害国賠訴訟>
9/17(金)11:00- @東京地裁415号法廷
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<ネパール人取調べ中死亡国賠訴訟事件>
9/24(金)10:00- @東京地裁地裁510号法廷
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<「鳥は空に魚は水に人は社会に」訴訟>
9/27(月)16:00- @東京地裁103号法廷
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<羽田空港新ルート設定の取消訴訟>
9/22(水)15:00- @東京地裁103号法廷
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<コロナ禍、日本社会の理不尽を問う(コロナ特措法違憲訴訟)>
9/6(月)10:00- @東京地裁526号法廷
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⽂/谷口太規(CALL4)
編集/丸山央里絵(CALL4)