ジャーナリストに渡航の自由を!訴訟 A lawsuit for unconstitutional denial of passport issuance

現在の支援総額 Total amount of current support

379,500円 ¥ 379,500

75%

目標金額 Target amount

500,000円 ¥ 500,000

サポーター Supporter

66 人 66 supporters

支援する Support a Case

国からパスポートの発給を拒否され、海外へ渡航できなくなった安田純平さんが、発給拒否処分が違憲・違法であるとして、2020年1月9日に国を相手にパスポートの発給等を求めています。 Junpei Yasuda, who refused to issue a passport from the government and was unable to travel abroad, is an administrative lawsuit seeking the issuance of a passport with the government as the defendant, denying that refusal of issuance is illegal.

国がパスポート発給を拒否

私は、シリアで武装勢力から3年余りにわたって拘束された後、2018年10月23日、シリアからトルコを経由して日本に帰国しました。

その後、家族と海外旅行に行くことを計画し、パスポート発給の申請をしましたが、国はこれを拒否しました。以後、私は、事実上日本から出ることができない状態になってしまいました。

この裁判は、国が私に対して、パスポート(一般旅券)の発券を拒否する処分をしたことの問題性を問うものです。その争点の詳細については、このページ下部や訴訟資料にアップロードされた訴状をご参照ください。

国が、自由に、出国させる人と出国させない人を決めてしまえば、憲法が保障している移動の自由は危機に瀕します。

この問題は私だけの問題にとどまらず、国民全体にとっても大切なテーマを取り扱う公共性の高い裁判です。そのため、CALL4を通して裁判情報を公開するとともに、寄付を募ろうと考えました。


資金の使途について

今回の裁判には、旅券法の解釈などが重要となり、研究者などの専門家の協力も得る必要があります。また諸外国の事例調査なども不可欠です。

このような作業には多くの費用が必要となりますが、十分な資金は確保できていません。今回クラウドファンディングを通して資金を集めようと考えたのも、今後十分な弁護活動を続けていくために必要な諸経費、特に専門家による意見書作成費用を賄う必要があったからです。

具体的には、専門家による意見書作成費用として約50万円かかると見込んでおり、同額を目標金額として設定しています。もし、支援金額が目標額を上回った場合は、Stand with Syria Japan (https://www.ganas.or.jp/20200618syria/)に寄付させて頂く予定でおります。

この裁判の結果は、今後の多くの人たちの移動の自由に影響するものとなります。

今回の裁判を通して、国の下す処分が憶測ではなく事実に基づいて行われるべきであること、移動の自由が守られた社会が私達にとってどれだけ大切なことであるかを、支援者の皆様と一緒に考えていきたいと思っています。

原告、弁護団共に裁判でよい結果が得られるよう尽力して行きたいと思っておりますので、皆様どうかご支援頂けますようお願いいたします。


今回の裁判の争点について

今回の裁判では、私は、大きく次の2つの点を問題視しています。

まず、私は、国が一般旅券の発給拒否処分を下すにあたり、私のシリアでの一連の経緯を踏まえて、事実に基づかない恣意的な判断を下した可能性が高いことを問題視しています。

次に、一般旅券の発券拒否事由について定めた旅券法の一部の規定(ある国から入国拒否をされた場合、国は旅券発行を拒否することができ、結果として一般旅券の申請者は全ての国への渡航ができなくなる)は、1951年制定当時の状況よるもので、現在においては海外渡航の自由という憲法上保障された自由の実現を不当に妨げているおそれがあります。

それぞれについて詳しく説明します。

1)国の恣意的な事実認定について

私は2019年1月4日、家族との海外旅行のために旅券の再発行を申請したところ、2019年7月10日、外務大臣から次の理由で旅券の発給を拒否する処分を受けました。

「貴殿は、平成30年(2018年)10月24日、トルコ共和国から同国の法規に基づく入国禁止措置(5年間)を受けたことにより、同国への入国が認められない者である。よって、貴殿は、一般旅券の発給等の制限の対象となる旅券法第13条第1項第1号に該当する。」

同処分の根拠となった旅券法第13条第1項第1号は、「渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者」であることを旅券の発券拒否事由とし、外務大臣又は領事官は、これらの事由に該当する者に対して一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができると定めています。

しかし、私自身は、同年、トルコ共和国から同国の法規に基づく入国禁止措置の手続を受けたことはありません。

すなわち、国は、入国禁止措置が下されたという事実の裏付けがないのにもかかわらず、私の過去の行動を元に憶測によって同事実が存在すると認定したおそれがあります。

2)旅券法第13条第1項第1号の違憲性

本訴訟の争点の一つとして、弁護団は、旅券発券拒否事由について定めた旅券法第13条第1項第1号は、海外への渡航の自由を保障したと解されている憲法22条2項に違反していると考えています。

旅券法が制定された1951年(昭和26年)当時、一般旅券が認めていた渡航先は個別に指定された国に限定されており、かつ、一回の往復のみ有効とされ渡航ごとに都度申請することが原則とされていました。例えば、発券された旅券に渡航先が米国と指定されていた場合は米国にしか行くことができず、帰国の度に旅券を返納することが求められていました。

しかし、海外へ渡航する日本人の数が増えるにつれて、国はそのような運用を変えていく必要に迫られました。度重なる法改正を経て、1988年(平成元年)の旅券法制定によって、現行の旅券法は、渡航先を「外務大臣が指定する地域以外のすべての地域」と包括的に定めることを認めるとともに、数次往復を原則としました。

先に述べたとおり、現行の旅券法第13条第1項第1号は、「渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者」を旅券の発券拒否事由にしています。そして、この規定の存在よって、ある国から入国拒否をされた場合、国は旅券発行を拒否することができ、結果として一般旅券の申請者は全ての国への渡航ができなくなります。

問題は、この規定は、旅券が認める渡航先を一国に限定していた旅券法制定の1951年当時の規定であるということです。事実、一般旅券の発給件数については、旅券法が制定された1951年(昭和26年)当時から2018年(平成30年)にかけて400倍以上になり、また、日本国を来訪する外国人又は出国する日本人の数は、1964年(昭和39年)から2018年(平成30年)にかけて約100倍近くにもなっています。

このように、立法当時と現在における海外渡航の位置づけは大きく変わりました。また、海外渡航が一般化することにより、国境を越えて人や事物に直接接することの重要性も高まっています。

現在における海外への移動の自由の重要性を踏まえると、入国拒否されている国が一か国でもある場合、一律に旅券を発行しないことを許容する上記規定の存在は、時代にそぐわないものであると言わざるを得ません。

以上を踏まえて私及び弁護団は、2020年1月9日、国を相手に

①私はそもそもトルコ政府から入国禁止措置を受けておらず、旅券法 第13条1項1号に基づく旅券発行拒否の要件を満たしていないこと

②一国からの入国禁止のみを理由に、国外への移動を一律に制限できる旅券法13条1項1号自体が、日本国外に移動する自由を侵害し、憲法22条及び13条に反すること

③仮にトルコ政府からの入国禁止措置が存在した場合でも、渡航先からトルコを除外して旅券を発行しないことが、憲法22条及び13条に反すること

等を根拠に、旅券発行拒否処分の取消しと一般旅券の発給の義務付けを求めて旅券発行拒否処分の取消し等を求めて訴訟を提起しました。

さらに詳細な私たちの主張や、国がどのような反論をしてくるのかは、訴訟資料のページに随時アップしていきますので、ご覧いただけますと嬉しいです。

土田元哉