「同性パートナーにも犯罪被害の遺族給付金を」訴訟 A trial seeking a crime damage benefit (survivor benefit) from a homosexual partner

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20年以上もの間、生活を共にしてきた同性のパートナーを殺害された者が、「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」として、犯罪被害給付制度の遺族給付金の支給を求めて申請を行いました。しかし、愛知県公安委員会は、申請者と本件被害者が、法律上同性であること等を理由に、給付金を支給しない旨の裁定をしました。これを不服として、名古屋地方裁判所に不支給処分の取消を求める訴えを提起しました。 A person who has been murdered by a homosexual partner who has lived with him for more than 20 years seeks to receive a survivor benefit from the crime damage.

同性パートナーに対する犯罪被害者給付金を求める裁判のたたかいは控訴審へ

同性パートナーが犯罪被害給付制度に基づき遺族給付金の支給を求めたところ、愛知県公安員会が不支給とした裁定の取消を求めた訴訟について、2020年6月4日、名古屋地方裁判所は、請求を棄却する判決を言い渡しました。

棄却の理由は、「税金を財源にする以上、支給の範囲は社会通念によって決めるのが合理的だ」「本件処分当時(平成29年12月)においては、同性間の共同生活関係に関する理解が社会一般に相当程度浸透し、差別や偏見の解消に向けた動きが進んでいるとは評価できるものの、・・・本件処分の我が国において、同性間の共同生活関係を婚姻関係と同視し得るとの社会通念が形成されていたということはできないというほかない。」というものでした。

性的少数者の人権に関わる問題について、財源が税金であることを理由として国民の多数派の理解が十分に得られていないから保護に値しないということは、社会に差別や偏見がまだ残っているのだから保護されなくても仕方がないというに等しく、裁判所が人権の砦としての役割を放棄したと言わざるを得ません。あまりに悲しい判決です。

事件は、2014年12月に起きました。殺害されたのはAさん(男性)。第一発見者は、Aさんと20年以上パートナーとして生活をともにしてきたBさん(男性)でした。加害者であるCさんがAさんを殺害した動機は、AさんからBさんに対するストーカー行為を止めるようにと注意されたことに対する逆恨みでした。Cさんは、懲役14年の有罪判決を受け、服役しました。この判決で、AさんとBさんの関係は、「夫婦同然の関係」と認定されました。

Aさんは、Bさんよりも13歳年上でした。天真爛漫なBさんを、しっかりもののAさんが父親のように温かく支えるという夫夫関係でした。Aさんを失ったBさんの悲しみは深く、精神的な打撃から仕事も退職を余儀なくされました。Aさんとともに暮らしていた自宅が殺害現場となったことから、Bさんは安価で自宅を手放さざるを得ず、経済的にも大きな打撃をうけました。

本件でもそうですが、殺人などの重大犯罪の加害者は、長期間にわたり服役することになるため、犯罪被害者やその遺族に対して、十分な被害弁償がされないことが多々あります。犯罪被害者が事件後にも平穏な生活を営むことができるよう、連帯共助の精神に基づき、犯罪被害者等の経済的及び精神的打撃を社会全体で緩和するという制度が、犯罪被害者給付制度です。

犯罪被害者給付制度では、支給を受けられる遺族の第1位に、「配偶者」を挙げています。そして、この「配偶者」には、「事実上婚姻関係と同様の事情にあった人を含む。」と明記されています。つまり、婚姻届を出していない事実婚の場合でも、申請は可能だとされているのです。その趣旨は、この法律が、犯罪被害者とその遺族という社会的弱者を保護することを目的とした立法であって、パートナーを犯罪被害で失うことによる精神的及び経済的打撃は、婚姻届を提出した夫婦と何ら変わりないという配慮にあります。

そして、この「婚姻関係と同様の事情にある者」には性別は示されていません。同性パートナーを支給対象とするか否かは、裁判官の解釈次第だということです。犯罪被害者給付制度の趣旨にたちかえれば、パートナーを犯罪被害によって失ったことによる経済的打撃や精神的打撃は、異性カップルであろうと、同性カップルであろうと、違いがあるはずがありません。しかし、判決は、その点には触れず、「社会通念上、同性パートナーの関係は婚姻関係と同視できない」という一点で、支給を否定したのです。

判決後、Bさんは、「今回の判決で支給が認められなかったことが非常に残念です。同性パートナーを犯罪で失うつらさは男女間のパートナーを失うつらさと変わらないと思います」とコメントしました。Bさんだけではありません。同性パートナーをもつ多くの当事者が、自分たちの関係は、婚姻ではないと司法に切り捨てられたのだと感じました。その悲しみ、悔しさ、怒りをエネルギーに変えて、控訴審に挑みます。

控訴審はまだ始まったばかりです。この判決を知っていただき、ご支援くださいますようお願い申し上げます。

堀江哲史

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