2023.5.23

はじめて原告に出会ったインターンで、私が変わったこと

CALL4インターン記

はじめに

みなさん、こんにちは!学部4年の春休みにCALL4でインターンをさせていただきました、野崎久楽良です。

大学に入ってからは、「三段論法、三段論法」と唱えながら文章を書くことばかりだったので、今回、自由に文章を書く機会をいただきうれしいです。

これからインターンに参加されるかもしれないみなさまの参考となるように、私がCALL4インターンで行ったことや感じたことを紹介できればと思います。

①インターン企画「ポスター掲示」

まずは今回のインターン同期6人で行った活動についてです。短期インターンの活動は、インターン生のみんなで集まってどんな活動をしたいかを考えることから始まります。私たちの時は、コア期間が10日間設けられていて、最初はオフィスに頻繁に集まって話し合いをしていました。この時、インターンの面倒を見てくださったCALL4のみなさんが、こまめに議論の状況を確認するミーティングを開いてくださったり、分からないことを尋ねるとすぐに助けてくださったりと、細やかにコミュニケーションを取ってくださったことをよく覚えています。ありがとうございました。

私たちは議論の結果、目標を「CALL4の存在をそもそも知らない層に、CALL4を知ってもらうこと」と定めました。具体的には、以前CALL4で作成されたものの、見てもらう機会のなかったポスターを色んな場所に貼ることを企画しました。私たちの活動は、主にCALL4のポスターを掲示したい場所を考え、そこに実際に赴いて交渉をすることです。広告料を使って掲示するのではなく、大学生の私たちの身近な場所、例えば大学構内の掲示板や大学近くのカフェ、また書店、映画館といった無料の掲示場所をターゲットにしました。私たちと同世代の人にCALL4を知ってもらいたいという思いと、この方針は一致していたので良かったと思います。

実際に交渉を始めてみると、CALL4がどういう団体なのかを説明することの難しさに気づきました。「公共訴訟」ってなんだろう、「訴訟」より「裁判」と言う方がいいのかな、「ウィシュマさん」と言って通じるのだろうか、など言葉について色々と悩みながら、一つずつ交渉をしました。

結果としては、意外と大学構内に掲示する方が難しく、カフェなどの方がより快く受け入れてくださった印象です。これに対して、私が「大学はパブリックフォーラムじゃないんかい」とテキトーな不満をいうと、パブリックフォーラム論は補足意見でしょと冷静につっこんでくれる同期にも恵まれました。そうです、CALL4のインターンでは自分と同じ法曹志望の学生や、優秀な学生にも多く出会うことができました。現状では、インターン生もCALL4の学生メンバーにも法曹志望が多くなっていますが、法律以外の勉強をしている学生をむしろみなさん待っていらっしゃる印象があるので、法曹志望でないみなさんも進んで参加してください。

少々脱線しました…早稲田大学にかかわりのある方ならご存知かもしれませんが、『ぷらんたん(喫茶店)』や『CAFE GOTO』といった歴史ある場所にポスター掲示できたのはとても嬉しかったです!

▲『ぷらんたん』の許可を得てのポスター掲示。手前が筆者の野崎さん

②訴訟提起&記者会見に同行

CALL4のみなさんに誘っていただき、インターンとしての企画以外にも色々な経験をすることができました!

特に、「刑務所医療過誤事件」の訴訟提起と、その直後に裁判所で行われた記者会見に同行させていただいたことが印象深いです。提訴当日、裁判所の前で原告のお二人と弁護団のみなさんと待ち合わせたのですが、原告と弁護団だけの集まりに、自分たち学生が参加する体験はもちろん初めてで、待ち合わせの段階ですでに緊張していました。このように、私がここにいていいんですか!?という場面が、インターン期間にはたくさんありました。

あらためて、学生の同行を許してくださり、輪に入れて気さくにお話してくださった原告のお二人と弁護団のみなさん、ありがとうございました。また、このような機会に恵まれたのは、CALL4がこれまでに訴訟の原告や弁護団の方と築いてこられた信頼関係あってこそのことだと思います。本当にありがたい機会が多かったです。

訴訟提起は、準備した訴状を裁判所の窓口に提出するという事務的なものではあるのですが、その合間や記者会見の際に聞いた原告のお二人のお話にとても心打たれました。会見では、さっきまで横で「緊張するなぁ…」とおっしゃっていた、あまり私と年齢が変わらない原告が気丈に話されているのをみて、おもわず泣いてしまいました。そこで、「この問題をこのままにしてはいけない、これからもこの訴訟を応援したい」と強く思いました。

▲提訴会見時の様子。黒い服を着ている原告のおふたり(中央)は悲痛な面持ちで語った

私がCALL4のインターンに参加して一番良かったと感じているのは、上記のように、原告そして代理人の弁護士の方のお顔をみることができたということです。これは私がこれから勉強を進めていくうえで、とてもかけがえのない経験になったと思います。

ふだん法学部の授業や試験問題で出会うのは、実体を感じない、いわばのっぺらぼうの当事者でした。事例を読んでいても、現実味がなく思考がすべっていく感覚をよく感じていました。しかし、原告のみなさんと直にお会いすると、そこには一人の人生があって生活があって、その中で時間とお金と労力を使って裁判を起こしているのだということが、ずしんと重くお腹に落ちてきました。このことをきっかけに、法律を勉強する際にも、事例の背景をできるだけ想像しようと意識するようになりました。これは、法曹を目指して勉強をしていく自分にとって、とても良い変化だったと思います。

この他にも、一般のリスナーに向けて、担当弁護士さんをお招きして訴訟解説いただく「CALL4 Podcast」の収録、受刑者の更生に興味があるといえば更生施設への訪問への同行など、たくさんの刺激的な経験をさせていただきました。CALL4のインターンは、自分から望めば、たくさんのチャンスにあふれたインターンだと思います!

▲野崎さんが受刑者更生プログラムに興味を持つきっかけになった本

③これからインターンに参加されるみなさんへ

私がインターンに応募したのは、将来弁護士を志望しており、CALL4がサポートしているような公共訴訟に関わりたいと思いつつも、具体的にどの道を進めばそうなれるのかイメージがつかない状況を変えたかったからです。

インターンが終わった今振り返ると、参加前と比べてずっと将来のイメージができるようになりました。CALL4に所属されている弁護士さんと出会い、お話させていただく中で、これまで全く見えていなかった、自分が将来こんなふうになれたらいいのかも、と思うような方を何人も見つけることができました。弁護士さんのみならず、CALL4には素敵な方がたくさんいらっしゃいます。そうしたみなさんとの出会いも、CALL4インターンの大きな魅力といえると思います。

最後になりますが、CALL4が支援する公共訴訟の中には、現在の社会が抱える課題が反映されているものが多くあります。公共訴訟について知ることは、社会にどのような問題があるのか、それにより誰が苦しんでいるのか、を考えることに繋がっていると思います。私も、刑務所医療過誤訴訟に関わる中で、刑務所の医療体制が不十分であること、そして受刑者の権利をどの程度保障するべきかという問題に出会いました。このように、自分がこれまで気づかなかった問題や視点に気づくことができるのも、様々な公共訴訟をサポートするCALL4のインターンならではの良さだと感じています。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

みなさまのエールになれたら、とてもうれしいです!

▲2023年春期インターンチームが揃って、CALL4の「4」でポーズ!
⽂/野崎久楽良(CALL4 2023年春期インターン生)
編集/丸山央里絵(CALL4)