2021.7.8

小さな勇気で私の世界は変わった

CALL4インターン記

はじめに

みなさん、こんにちは。2021年CALL4春季インターン生の飯田侑加です。2021年3月の約一ヶ月間、CALL4でお世話になりました。

私は大学で社会福祉領域の学問を専攻し、社会で弱い立場に置かれている人たちの現状や社会問題について日々学んでいます。また、そのような人たちを包摂するコミュニティのあり方や、非営利団体の役割についても勉強し、社会課題を解決するために何ができるのかを考えています。

そんな私がCALL4を知ったきっかけは、昨年のCALL4リリース1周年記念イベントです。

その頃はコロナで自分の思うように行動ができず悶々とし、またコロナによって生活に支障が出ている人もいるのに、自分は何もできないもどかしさに苦しんでいました。

とりあえず外出自粛の今できることは知を積むことだ!と思い、たくさん書籍を読み、気になるオンラインイベントには積極的に参加していました。そんなある日、たまたまフォトジャーナリストの安田菜津紀さんのツイートでCALL4のイベントを知り、オンライン参加してみることにしました。私はこのイベントに参加して、 “公共訴訟”という言葉を初めて聞きました。司法からのアプローチで社会を変える方法があるんだと感動したことを今でも覚えています。

▲CALL4リリース1周年記念イベント「公共訴訟を考える2Days」

その後SNSでインターン募集の告知を見つけ、ほとんど勢いで応募をしました。

インターン説明会の日。参加してみると、私以外のインターン生は法学部生か司法修習生でした。場違いだったかなと思いましたが、「法の知識がなくても大丈夫」と言っていただき、それでも内心は不安でいっぱいになりながら、私のインターンの活動が始まりました。

傍聴で他人事が“自分ごと”に

インターンでは、小学校の現役の先生が、教員の長時間労働の労働法違反を訴えた「人間を育てる教員に、人間らしい働き方を」訴訟の傍聴に参加しました。傍聴前にCALL4のケースページを一通り読んだのですが、訴訟資料は内容が難しく、正直、最後まで読む気が起きませんでした。「裁判を見に行っても難しくて理解できないかもしれない」…そんな一抹の不安を抱えてさいたま地裁に向かいました。

▲さいたま地裁に向かう、原告の田中まさおさん(撮影:神宮巨樹)

しかし、原告意見陳述で語られたのは、ひとりの人間の悲痛な思いでした。どれだけの仕事をどれだけの時間でこなしてきたのかがありありと伝わってきたのと同時に、とても胸が苦しくなりました。教員の労働環境は過酷なものだと知識としては知っていましたが、文面だけではわからない個人の感情を感じ取ることができました。

この裁判は教員の働き方について問うたものでしたが、私には社会で活躍する、またこれから活躍する全ての人に関係する裁判なのだと感じられました。そして公共訴訟は“難しいこと”から、“私にも関係すること”へと認識が変わりました。

また、原告を支援している多くの学生の存在も印象に残りました。彼らは教員を目指す学生を中心にした支援団体に属していて、裁判の傍聴に訪れていました。彼らもまた私と同じように法にはあまり詳しくないかもしれません。しかしこの裁判は決して他人事ではなく、自分たちの未来に関わる大切な訴訟で、原告を一人にしてはいけないという思いで支援をしているのだということでした。

自分はその問題に詳しくないから…と尻込みしてしまう人もいると思いますが、当事者だけでは社会を変えることはできないし、自分よりも知識のある人が立ち上がればよいと思っていては、いつまで経っても何も変わらない。それは全ての社会問題にいえることです。私はこの裁判傍聴の経験で、改めて周囲の協力の必要性を実感しました。原告だけでなく、支援する弁護士や学者、学生、そして裁判を傍聴する人たちがいて初めて世間に訴えることができるのだと知りました。

また社会をより良くするために私にできることの一つとして、裁判を傍聴することもあるのだと知りました。今まではデモや署名活動に参加することが、社会のために私にできる唯一のことだと思っていました。しかし裁判の傍聴も時間があれば誰にでもできることであり、他人事ではなく自分事として捉える良い機会なのだと実感しました。

▲安田菜津紀さんのショートドキュメンタリー取材現場にも立ち会った(撮影:神宮巨樹)

やってみなければわからない

インターン中には、インターン生でオンラインイベントを企画・開催もしました。

コロナ禍において何度もオンラインイベントを視聴してきましたが、実際に自分が企画側に立ってみるとその難しさに直面しました。

イベントの趣旨やゲストの有無、参加者の層や広報範囲など考えなければならないことが山積みで、インターン生で何度も話し合い、試行錯誤する日々が続きました。しかし次第に話し合いの場が楽しく感じるようになっていきました。自分の意見を伝えるだけではなく、他者と意見を交換することによって自分自身の考えを深められたとともに、新たな発見が多くありました。企画は今までやったことのない未知の分野でしたが、参加者のためにイベントを考えることの楽しさに触れることができた貴重な経験でした。

また私は当日、司会進行を務めることになったのですが、人前で話すのが苦手な上に緊張しやすく、全く自信がありませんでした。それでも、とにかく楽しむ心を忘れずに挑んだ結果、本番では、人に伝えること、人の意見を聴くことが心の底から楽しいと思えました。今までは苦手意識を持っていたことも、やってみなければわからないのだと実感し、私の視野は大きく広がりました。

▲CALL4インターン生主催のイベント告知バナー

行動で世界は広がる

私のインターンでの経験から私がみなさんにいちばんお伝えしたいことは、自分が不得手だと思っているものや未知の領域のものでも、実際に飛び込んでみなければわからないということです。

私はCALL4に関わって、“裁判”や“公共訴訟”のイメージが大きく変わり、自分にもできることがあるのではないかと希望を持つことができました。CALL4や公共訴訟に少しでも興味を持たれた方は、ぜひ気軽に裁判を傍聴したり、インターンに参加したりと行動に移してみてください。きっと世界が広がるのではないかと思います。

⽂/飯田侑加(CALL4)
編集/丸山央里絵(CALL4)