2024.9.9

「CALL4 HISTORY」5年間の歩み

インフォグラフィックでふりかえるCALL4

CALL4は司法を通じた社会課題の解決を目指す公共訴訟を支援するため、クラウドファンディングや訴訟の背景にある「人の物語」を伝えるストーリーページ、訴訟資料のデータベースなどを提供するウェブプラットフォーム「CALL4」を2019年9月9日に開始いたしました。

多くの支援者の方々に支えられ、この度正式リリースから5周年を迎えることになります。2024年は日本で初めて女性として弁護士、判事、裁判所長それぞれを務めた三淵嘉子氏をモデルとしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」が放送されたことにより、これまで裁判や司法をより身近に感じてくださる方が増えたり、「旧優生保護法国賠訴訟」にて戦後13件目となる最高裁での法令違憲判決がでたりと、司法に注目が集まる機会が増えています。

CALL4は公共訴訟と市民をつなぐプラットフォームとして広く認知され、サービス開始時から掲載ケース件数は20倍以上となりました。累計クラウドファンディング額は1億円超(CALL4への寄付も含む)、ケースへの累計支援件数は1.3万件超と着実に増えています。
訴訟の背景にある「人の物語」(ストーリー)や公共訴訟についてわかりやすく解説する漫画、Podcastコンテンツ等、CALL4が独自で制作したコンテンツは200件超となりました。

また、これまで最高裁が法令違憲判決を出したケースは歴史上13件となり、時には十数年以上法令違憲判決が出されない期間もありますが、2022年からは3年連続で最高裁が法令違憲判決を出しており、いずれもCALL4に掲載されているケースに関わるものとなります。

最高裁にて法令違憲判決が出たケースの紹介

  • 2023年10月 「性同一性障害特例法」手術要件の違憲判断
    • CALL4掲載関連ケース名:オペなしで!戸籍上も「俺」になりたい裁判
    • ※同様の訴訟が全国の家裁で進んでおり、上記ケースではない他のケースでの最高裁法令違憲判決獲得となります。ただし、CALL4で扱っているケースも一連の本裁判の1つになります

そのほか代表的なケース紹介

利用者メッセージ


オペなしで!戸籍上も「俺」になりたい裁判 申立人 鈴木げんさん

戸籍上も「俺」になりたい裁判では、合計157名の方から、130万円以上を寄付していただきました。
寄付金は翻訳費用、交通費、チラシ作成費、会場費などに使わせていただきました。特に助かったのは、翻訳費用です。日本語訳がないドイツ連邦憲法裁判所や欧州人権裁判所の判断の資料を、翻訳家の方に有償で依頼して日本語訳を作成し、証拠提出することができました。
また、俺裁判は静岡家裁浜松支部に申し立てしていたのですが、弁護団5名のうち、1名が東京、2名が名古屋在住のため、申立書作成のための打合せや支援者も含めた会議を浜松で行う際の交通費や、裁判所に出頭するのための交通費がかかりました。俺裁判のことを知ってもらうためにチラシを作成したり、打合せ・会議、記者会見、報告会を実施するために地元の公共施設の会議室を借りる会場費にも使わせていただきました。

こうして、これまで日本ではなかった事例について海外の裁判所の判断についても裁判所に提出できたこと、地元だけではなく遠方の専門性の高い弁護士がチームになって対応できたこと、多くの方にこの裁判を知ってもらい、ご支援いただけたことが、画期的な家裁の判断につながりました。ケースページに寄せていただいた多くの応援メッセージや、イベントでいろんな方にお会いし、激励いただいたことも心強かったです。
今度は他のケースを支援したく、現在はCALL4のサポーターになっています。CALL4は5周年とのことですが、これからも多くのケースを支援してもらえたらと思います。

CALL4 5周年記念関連イベント

【9/27〜28】5周年CALL4フェス!開催

5周年を記念し、2024年9月27日、28日に「元最高裁判事×アカデミア特別対談」や、裁判を傍聴した小説家対談、NHK連続テレビ小説「虎に翼」の時代から100年の司法の歴史を振り返る座談会、最高裁での法令違憲判決を祝した当事者のリレートークなど様々なトークライブを開催いたします。
入場無料、出入り自由。気軽に遊びにいらしてください!
-特設ページはこちらから

マンスリーサポーター募集キャンペーン

現在、CALL4を支えてくださっているマンスリーサポーターの数は220人になります。この度の5周年を記念し、CALL4の活動を広めるべく、2024年9月9日から10月10日まで「マンスリーサポーター募集[めざせ250人]キャンペーン」を実施いたします。この機会にマンスリーサポーターという支援のかたちもご検討いただけると嬉しいです。
-特設ページはこちらから

CALL4代表メッセージ
5周年を迎えて


CALL4共同代表 谷口太規

先日、世界的に有名な憲法学のブログ“Verfassungsblog”に、憲法学者たちが日本の最高裁が近年活性化している理由の分析をした論文が掲載されました。幾つか挙げられた理由のうちの一つに、CALL4の存在が挙げられていました。CALL4によるサポートによって、より人々の目に留まって支持を受けることで公共訴訟が活性化し、それに応える形で最高裁も積極的に憲法判断をするようになっているのだと。CALL4を立ち上げてから5年、もし私たちのプラットフォームを通じて形作られた人々の想いが、ずっと保守的だと言われていた司法を動かしつつあるのだとしたら、それほど嬉しいことはありません。
また、公共訴訟の意味は、その勝ち負けだけにも留まらないこともまたこの間感じてきました。それは人々の関心の惹起であり、市民社会の活性化であり、声を上げる勇気の伝播でもあります。今後も、CALL4は、司法アクティビズムを軸としながら、人々がもっと良い社会を希求するための機会や基盤を提供していきたいと思います。

CALL4共同代表 丸山 央里絵

CALL4が生まれて5年、振り返ればあっという間ですが、当初3件だった掲載ケース数は70件に増えました。司法判断によって国のルールを変えたケースに複数立ち会うことができました。寄付や傍聴、情報シェアなどの応援が、私たち一人ひとりが寄せる関心が、社会を動かす力であることを実感しています。
今年7月、最高裁で旧優生保護法の法令違憲判決があり、その法律によって強制不妊手術を受けた人びとへの国家賠償が認められました。その場には25年以上前に誰より先に声を上げ、たった一人で誰にも相手にされなくとも諦めずにたたかい続けてきた原告の飯塚淳子さんの姿もありました。自分の人生を奪ったことを国に謝罪してほしい、その彼女の切なる願いがついに、“人権最後の砦”最高裁を動かしたのです。
声を上げた人をひとりにしない。そのために、これからもCALL4は、理不尽や不公正に声を上げた人びとの声を届け、その声に呼応する人びとの力が結集していくための場であり続けたいと思います。