誰もが司法で社会を変えられる。「公共訴訟」を知っていますか?
こんにちは、日本初の“社会課題の解決を目指す訴訟”=公共訴訟の支援に特化したウェブプラットフォームCALL4の編集部です。
私たちは、より多様で公正な社会を実現する手段として「公共訴訟」を通じ、これまで多くの方には縁遠く、閉ざされがちであった司法を、多くの人たちにひらきたいと願っています。
今回は「公共訴訟のキホン」について解説します。
目次
社会を変えるアクションの1つ「公共訴訟」って何?
私たちが暮らす社会には、たくさんの課題があります。
・同性のカップルは公的に結婚が認められず、不利な状態にある
・海外から来た非正規滞在者が、国の運営する収容所で暴力を受けたり亡くなっている
・国が新たに許可した旅客機の航空ルートで、ルート上の住民が苦しんでいる
上記はあくまで一例ですが、このような課題に直面し、「本気で社会を変えたい」と考えたとき、私たち一般市民が声を上げる方法は「署名活動を行う」「SNSで声をあげる」「抗議・デモ活動を行う」等が想像されると思います。
ただ、このように「世論を作る」活動で国や自治体が必ずしも動くとは限りません。
そんなとき、司法という手段を通じ、「身の回りで起きている“おかしなこと“をなくすために行われる裁判」があります。これが「公共訴訟」です。
これまでに、公共訴訟を通して日本社会が動いた事例は数多くあります。違憲判決を得て、社会が変わった代表例を2つご紹介します。
事例1:海外在住の日本人も選挙権を獲得「在外日本人選挙権訴訟」
2007年まで、海外に住む日本人には日本国内の選挙への投票が認められていなかったのを知っていますか?
2007年の公職選挙法の改正により、やっと実現したのです。この改正の背景には、10年に渡る法定での戦いがありました。
当時海外に在住していた日本人原告団が声をあげ、公共訴訟を通じ、10年弱の年月をかけて裁判を戦ったことで、最終的には最高裁判所が違憲判決を出し、法改正につながったのです。
事例2:ハンセン病患者の不当な隔離を国が謝罪「らい(ハンセン病)予防法 違憲国家賠償請求訴訟」
1953年、熊本県でハンセン病患者が多く発生。当時はハンセン病は感染力の強い病気とみなされ、国は患者を家族や故郷から強制的に引き離し、隔離施設に収容しました。しかし、のちの医学の進歩でハンセン病の感染力は極めて低いことがわかり、特効薬も開発されました。にも関わらず、法律の見直しは遅れ、患者は不当な隔離を続けられてきたのです。
1996年、ようやく「らい予防法」が廃止になりましたが、国から今までの対応についての謝罪は補償は一切ありませんでした。そこで患者たちが原告となり、国に責任を認めさせる公共訴訟を立ち上げました。
2001年には裁判所が違憲判決を行い、総理大臣と国会、それぞれが原告への謝罪を行うとともに、賠償が認められました。
よりよい社会のために、時間とお金をかけて戦う原告の負担は大きい
この2つの事例のように、過去の公共訴訟の結果により、のちの私たちは様々な権利を得られる状態にあります。
ただ、このように国や行政を相手に訴訟を起こすことは、原告(=裁判を起こす当事者)にさまざまな負担がかかります。
まずは時間。裁判には通常、短くて3年、長くて10年以上の時間もかかります。
そして、最大の負担は裁判費用です。
裁判を闘うには、弁護士費用の他、専門家の意見書や事実の調査・鑑定費用、長期に渡る裁判には交通費や印紙代・コピー代などもかさんでいきます。
さらに、原告は、時には社会からの批判やバッシングにも耐えなくてはなりません。このような重い負担の中、戦う人たちを支えたい。その想いで生まれたのがCALL4です。
まずは関心を持つところから。様々な「支援」のカタチ
CALL4は、このように時間や費用など負担を負いながら社会のために立ち上がった公共訴訟の原告や、その弁護団を支えるための「支援プラットフォーム」です。
「支援」には、色々な形があります。あなたが共感したストーリーや社会課題について、
・周囲の人と会話したり、SNSで情報をシェアする
・公共訴訟に寄付をする
・専門分野の場合は知識の提供をする
・裁判の傍聴をする
など、ぜひアクションを起こしてみてください。小さなことからでも構いません(CALL4のクラウドファンディングは500円から支援が可能です)。
(なお、CALL4自体も非営利型法人です。私たちの活動の基礎は皆さまからの寄付で成り立っています。詳しくは「CALL4について」をご覧ください)
現在も、さまざまな課題への公共訴訟が、日々行われています。
CALL4の「ケースを知る」ページでは、進行中の公共訴訟(ケース)の紹介と、訴訟にかかる費用を支援するクラウドファンディングを行っています。
また、「ストーリーを知る」ページでは、訴訟の背景にある、原告や関係者の想いや現実を伝えています。下記は、ストーリーの例です。
「公共訴訟をもっと身近に」CALL4が実現したい世界
「公共訴訟」という言葉を聞いて、「裁判?自分とは関係ないかな」「訴訟ってちょっと怖そう…」と思った方もいるかもしれません。しかし実は、ひとつひとつの公共訴訟は、私たちの日々の生活と深く関係があります。社会のルールを決めている法律に問題提起をすることで、皆が関わりのある問題を解決し、社会を少しずつ変えていくことができるのです。
こうした社会への問題提起は、いままで裁判所や一部のメディアの報道などに限られており、広く知られる機会が少ない状態でした。私たちはCALL4を通じて、社会課題を解決する手段としての公共訴訟がもっと身近なものとなる世界を目指しています。
このnoteを読んで共感していただいた方、「司法を通じて社会を変える手段があるんだ」と知った方は、ぜひ記事をシェアしたり、周りの方に伝えてみてください。そして、社会を変えようと戦う当事者たちの声に耳を傾け、支援や議論を通じて、ともにより良い社会を作っていければ嬉しいです。
CALL4のTwitterでも、公共訴訟に関わる情報発信を行っています。ぜひフォローしてみてください。