「人種差別を許さない」訴訟 ~警察官による母子の不当聴取と個人情報の漏洩~ Litigation Against Racism ~ Police Wrongful Questioning and Disclosure of Personal Information of Mother and Child

#外国にルーツを持つ人々 #Immigrants/Refugees/Foreign residents in Japan
#刑事司法 #Criminal Justice

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外国人女性と3歳の娘は、「国へ帰れ」等と人種差別的言動をする男性から不実の通報をされました。母子は警察署で男性の言い分を認めるよう数時間迫られた上、住所等の個人情報を承諾なく男性に開示されています。
警察官による人種差別行為をなくし、誰でも安心して暮らせる社会の実現のために裁判をします。
A foreigner and her daughter encountered racist assault from a Japanese man, but the police wrongfully questioned them and released personal information without consent. So we started this litigation.

控訴審判決期日のご報告

Report on the appeal court judgement

2025/10/16 21:50

期日:令和7年10月16日(木)午後1時25分

結果:一部控訴に理由があると認めて、控訴人ら母子に対して、各33万円(合計66万円)を支払えとする判決となりました。

判決文をアップしておりますので、ご確認いただければと存じますが、国賠法の違法性を認めた警察官の行為は、公園で控訴人ら母子に対して差別的な言動をしていた男性に個人情報を提供した点です。

具体的には、警察官は、差別的な言動を行なっていた「訴外男性」が、「控訴人らに対する差別意識から乱暴な言動を繰り返している人物であって、控訴人らに対して強い怒りを有している人物」であり、「攻撃性の高い性質を持った人物」であることを承知していたとして、その男性が、控訴人らの個人情報を取得した場合には、「これを悪用して、インターネット上の投稿やストーカーまがいの行為等の方法により、控訴人らの国籍、人種または人格等に対する誹謗中傷をする顕著な危険性があることを認識又は容易に認識し得た」と認定して、職務上の注意義務違反を認め、国賠法上違法であると判断しております。

実際に、その男性は、警察から控訴人らの個人情報の提供を受けた後、旧ツイッター上で、控訴人子の写真に「殺人未遂犯」との表示を付したり、「(控訴人母の出身国)人の殺人未遂犯には気をつけましょう」、「土人に人権はいらない 生まれた国に寄生せず他所の国で生かさせてもらうこと自体ナンセンス」などの差別を容認・助長する投稿を繰り返しており、その点も控訴審判決では認定されております。

客観的にみれば、警察官が控訴人らの個人情報を当該男性に提供したことで、男性による人種差別が「助長」されたことは明らかであり、人種差別撤廃条約の違反を認定できるはずではないかと考えますが、判決が、その点に言及していないことは、誠に残念です。

その他、争いのある事実について、警察官の供述が信用できるとし、控訴人母や目撃者である第三者の供述が信用できないとした認定は、到底納得のいくものではありません。

例えば、控訴審は、警察官が、男性が公園で控訴人らや目撃者である第三者に対して「差別的な発言をしているのを目の当たりにした状況で、そうした行為を何ら静止することなく放置するというのは、通常の警察官の行動として明らかに不自然、不合理である」として、警察官が、その男性による差別的な言動を制止しなかったという、目撃者である第三者の供述は信用できないと判断しております。

しかし、ヘイトスピーチを行う団体がデモ活動をする際、デモ隊を誘導する多くの警察官が、ヘイトスピーチを制止することなく放置している様子は、多くのヘイトスピーチで見られるものであり、差別的な言動を「何ら静止することなく放置するというのは、通常の警察官の行動として明らかに不自然、不合理である」とする認定は、経験則に反すると考えます。

その他、控訴審の認定には、多くの問題点があると考えており、弁護団としては、上告及び上告受理申立てを検討しております。

今後、改めて、控訴審判決の問題点について、整理して報告いたします。

TBA(To Be Announced)

和解協議が終了いたしました。

The settlement negotiations have concluded.

2025/8/7 18:52

第2回口頭弁論期日をもって審理を終え、裁判所からの和解の勧告を受けて和解協議を続けてまいりました。

和解協議における具体的なやり取りについては、性質上、明らかにすることはできませんが、この度、協議を終え、判決に進むことになりましたので、ご報告いたします。

判決は10月で、判決後、速やかに記者会見を開く予定です。

一審判決は誤りであり、控訴人母子の訴えを認める判決を期待しております。

TBA(To Be Announced)

第2回口頭弁論期日後の状況について

after 2st oral argument

2025/6/17 19:27

前回(第2回口頭弁論期日)の進捗報告では、審理終結となり、裁判所から和解の勧告があったことをご報告させていただきました。

現在も、裁判所から勧められた和解協議の進行中であり、一旦指定された判決期日は取り消され、現時点では判決期日は決まっておりません。

和解協議という性質上、そこで行われている具体的なやりとりについてご報告することができず、関心をお寄せいただいている皆様には大変心苦しい限りですが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

結果が出ましたら、それがどのような内容であったとしても、皆様にできる限りのご報告させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。


TBA(To Be Announced)

控訴審第2回口頭弁論

2st oral argument in the appeal court

2025/3/4 16:54

期日:令和7年2月27日(火)午前11時

【提出書面】

控訴人、被控訴人はそれぞれ以下のとおりの主張書面及び証拠を提出しました。

(控訴人)

  • 控訴審第2準備書面(被控訴人準備書面⑴を受けた反論)

(被控訴人)

  • 被控訴人準備書面⑴
  • 乙17〜20号証

【進行について】

  • 裁判長は、控訴人らから申請があった証人申請については、調べる必要性がないとして却下し、審理を集結して、判決期日を指定しました。
  • また、受命裁判官が指定され、職権で和解勧告がなされました。

【和解について】

上記のとおり、当日、職権による和解の勧告がありました。

今後、勧告を真摯に受け止めつつ、私たちが本件訴訟を提起したそもそもの目的や意義を踏まえて、検討してまいります。

TBA(To Be Announced)

控訴審第1回口頭弁論

1st oral argument in the appeal court

2025/3/4 16:40

期日:令和6年11月14日(火)午前11時


【提出書面について】

控訴人、被控訴人はそれぞれ以下のとおりの主張書面及び証拠を提出しました。

(控訴人)

  • 控訴理由書
  • 控訴審第1準備書面(被控訴人答弁書を受けた反論)
  • 甲44〜47号証の4
  • 証拠申出書(控訴人子が警察署で控訴人母と引き離されて単独で聴取を受けているときに、控訴人母が警察署から電話して状況を説明したケースワーカー)

(被控訴人)

  • 答弁書
  • 乙14〜16号証の2

【控訴理由書で特に原判決の重大な問題点として特に強調した4点について】

① 供述の信用性評価の誤り

 原判決は、控訴人母や、事件当日たまたま現場に居合わせた第三者の供述の信用性を不当に貶める一方で、警察官らの供述について、口裏合わせの可能性を無視して「一致している」として信用できるとするなど、当事者及び関係者の供述の信用性評価に誤りがあることを指摘しております。

 とりわけ、控訴人母の供述の意味を取り違えたり、特異な体験に基づく具体的な供述が客観的に状況に整合しているにも関わらず、信用性評価に当たって考慮していないことなど、具体的な問題点をいくつも指摘しております。

② 控訴人の意に反する警察官らの各対応について、控訴人の同意ないし承諾を安易に肯定している点

 原判決は、本件公園に長時間留め置かれたこと、本件警察署に連れて行かれたこと、本件補導室から退出させられ控訴人子が単独で本件警察官らから事情聴取を受けたこと、訴外男性に対して原告個人情報を提供させられたことについて、いずれも、慎重に任意性を検討することなく控訴人母の同意ないし、了承、承諾があったと認定しております。

 しかし、控訴人らが同意ないし承諾したとされる本件警察官らの対応はいずれも、控訴人らに少なからぬ不利益を強いるものです。

 控訴人らが共に日本語を解さず、日本の法知識に乏しい外国人母と、その3歳の子(当時)であって、公権力である本件警察官との間で、力関係や、情報量、判断能力に雲泥の差があることを踏まえれば、控訴人らが不利益を受け入れることについて、任意の同意ないし承諾があったかどうか、慎重かつ丁寧な審理・判断が求められるべきでありますが、原判決は、そのような真摯な検討を行っておらず、安易に同意ないし承諾を認定している点が、極めて問題であると指摘しております。

③ 控訴人子の言動を3歳(当時)の発達状況等を全く無視して評価していること

 原判決は、控訴人子が、写真撮影の際にピースサインをしていたことを捉えて、控訴人子が「緊張や怯えの感情を有していなかった」と認定している点について、子どもの臨床に従事する公認心理士、臨床心理士、臨床発達心理士による意見書(甲44)を提出し、同意見書に基づき、カメラを向けられた子どもがピースサインをすることは、条件づけられた反応であることが多く、また人は自己防衛反応として心身の緊張を緩めるために笑顔になることがあることから、カメラが向けられた際のポーズや表情から、その緊張や不安、嫌がっていないかどうか等を判断することはできないことを指摘しております。

 また、原判決が、本件警察官らの供述から、「本件滑り台のアーチ部分を両手で掴んでぶら下がったことがあったかどうか、ぶら下がって前後に両足を振ったかどうか等」の質問に対して、控訴人が「Yes, swing, swing」と答えて「これを肯定した」と認定している点について、上記意見書に基づき、認知・発達心理学の観点から、子どもは脳が発達途上にあり、語彙や理解力、表現力も乏しいことから、質問を十分に理解せずに返答する可能性や誘導され安易に迎合してしまうおそれがあり、本件でも、本件警察官の質問が正確に伝わっていない可能性、子ども特有の2〜3語の単語を並列させる言語表現が、警察官に真実と違う文脈で翻訳されたり、控訴人子の意図しない形で理解されてしまった可能性があることを指摘しております。

 公園で男性の差別的言動を聞いていないとい本件警察官らの供述を採用していること

 私たちは、本件訴訟で、本件警察官らが、人種差別的言動を繰り返していた訴外男性の人種差別的発言を咎めず、そして、当該男性の言い分を人種差別的な動機を考慮することなく信用し、控訴人らに対して訴外男性の主張を認めるように迫る事情聴取を行ったことや、当該男性に対して控訴人らの個人情報を提供するなどしたことが、人種差別を「支持」、「助長」したとして人種差別撤廃条約上問題であると主張するものです。

 したがって、訴外男性の人種差別的発言の内容は、極めて重要です。

 それにもかかわらず、原判決は、当該男性による差別的発言を聞いたとする第三者の供述を合理的な理由がなく排斥する一方で、それらの発言を聞いていないという警察官の供述を、口裏合わせの可能性の検討を行うことなく採用している点は、極めて問題であると指摘しております。

 その他、控訴理由書記載のとおり、原判決の認定について、誤った証拠評価、当事者の重要な主張の一部の欠落、経験則違反があることを、具体的に指摘しております。

【裁判長から被控訴人都に対する釈明】

裁判長から、被控訴人都に対し、以下のとおり説明があり、被控訴人側に釈明を求める発言がありました。

  • 本件の警察官の控訴人らに対する対応は、犯罪捜査のためものもではない。
  • 控訴人ら2人を警察署に連れて行った理由、控訴人子の2回の単独聴取の必要性や法的根拠、同意があれば許されるのか、について、十分な整理がされていない。
  • 理由や適法性、同意があったら何をしても良いのかという点についても、改めて説明してほしい

【その他】

  • 控訴審で、控訴人子が警察署で控訴人母と引き離されて単独で聴取を受けているときに、控訴人母が警察署から電話して状況を説明したケースワーカーの尋問を求めておりますが、これについて、裁判所は採否を留保しました。
  • 冒頭、代理人が行なった陳述を添付します(代理人による冒頭陳述 .pdf

TBA(To Be Announced)

控訴しました。

We appealed.

2024/6/4 10:22

2024年6月3日、東京高等裁判所に控訴いたしました。

今後も関心をお寄せいただき、応援頂けましたら、幸いです。

On June 3, 2024, we appealed to the Tokyo High Court.

We would appreciate your continued interest and support.

判決期日のご報告

Report on the date of the judgment

2024/5/23 14:55

期日:令和6年5月21日(火)午後1時10分

結果:第1審判決が言い渡され、原告の請求はいずれも棄却されました。判決文をアップしております。

Date: Tuesday, May 21, 2024, 1:10 p.m.

Result: The first instance judgment was handed down and all of the plaintiff's claims were dismissed. The judgment text is available here.

第16回口頭弁論期日(結審)のご報告

Report on the 16th Oral Argument Date (Conclusion)

2024/5/23 14:50

期日:令和6年1月26日(金) 午前10時

結果:原告は第8準備書面、及び甲第41号証〜甲第43号証を提出し、被告は、準備書面(7)を提出しました。

原告母本人が出頭し、最終意見陳述を行いました。

審理は終結し、結審となりました。



Date: Friday, January 26, 2024, 10:00 a.m.

Result: Plaintiff submitted Preparatory Brief No. 8 and Exhibits No. 41 to 43, and Defendant submitted Preparatory Brief (7).

The plaintiff's mother herself appeared and made her final statement.

The hearing was concluded and the trial was concluded.



第15回口頭弁論期日(証人尋問(2))

15th Oral Argument Date (Witness Examination (2))

2024/5/23 14:35

令和5年12月5日

原告母本人、事件当日公園で助けに入って下さった男性、事件当日公園に臨場した交番の警察官1名の尋問が行われました。

December 5, 2023

The plaintiff's mother herself, the man who came to her aid at the park on the day of the incident, and a police officer from the local police box who was at the park on the day of the incident were questioned.

第14回口頭弁論期日(証人尋問(1))

14th Oral Argument Date (Witness Examination (1))

2024/5/23 14:26

令和5年11月24日、本件を担当した警察官2名と警察署での事情聴取で英語の電話通訳を行った通訳職員1名の証人尋問が行われました。


On November 24, 2023, witness testimony was conducted for two police officers in charge of this case and one interpreter who provided English telephone interpretation during the questioning at the police station.


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私たちは、警察官から人種差別的取扱いを受けたAさんと娘さんの代理人の弁護士です。

Aさんは、自分だけのためではなく、日本に暮らす外国ルーツの誰もが安心して暮らせる社会が実現できるようにと、裁判をすることを決意しました。

私たちは、Aさんの決意に強く同意し、警察官による人種差別行為が許されないことを明らかにするために国家賠償訴訟を提起しています。

勇気あるAさんの裁判を、ご支援頂けましたら、幸いです。

【弁護団連絡先】

〒102-0083
東京都千代田区麹町2-12-1VORT半蔵門2階
インテグラル法律事務所
弁護士 西山温子
電話:03-3288-5216

We are the attorneys who represent A and her daughter in this police racial discrimination litigation.
We respect A’s braveness to speak out. We greatly appreciate your support.

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