「鳥は空に魚は水に人は社会に」訴訟 Psychiatric State Compensation Litigation

#医療・福祉・障がい #Healthcare/Welfare/Disability
#公正な手続 #Procedural Justice

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精神病院に閉じ込められたまま人生の大部分を過ごす人たちが多くいます。精神障害を持つ人も地域で暮らせるようにという世界の潮流に逆行した日本の精神医療は、国際的にも大きな批判を浴びています。この訴訟は、日本の悲惨な精神医療を長年にわたり放置してきた政府の不作為責任を問い、国家賠償請求を行うものです。私たちは、この訴訟を通じて、病院中心に偏った精神医療から地域精神医療への転換が行われることを目指します。 Many people spend most of their lives confined in psychiatric hospitals. Japan's mental health care has gone against the global trend of allowing people with mental disorders to live in the community, and has been criticized internationally. This lawsuit seeks to hold the government responsible for its inaction for years in neglecting the deplorable state of mental health care in Japan, and to seek compensation from the state. Through this lawsuit, we aim to see a shift from hospital-centered mental health care to community mental health care.

第2回口頭弁論:2021年4月20日 

2nd oral argument: April 20, 2021

2024/2/8 16:14

◆第2回口頭弁論 2021年4月20日 

1. 当日の裁判の様子

伊藤時男さんを原告とする裁判の第2回口頭弁論が、2021年4月20日に東京地裁で行われました。精神国賠研の会員は、地裁のロビーに10時に集合しました。今回は傍聴席に50名が入ることのできる103号法廷で行われ、傍聴抽選はありませんでした。新型コロナウイルス感染症の蔓延拡大を受けて、東京都にも緊急事態宣言が発令される間近の状況ということもあり、傍聴者は32名でした。

裁判は、被告国側の提出した準備書面の確認と次回期日の調整を行う事務的なものでした。弁護団より「医療保護入院(同意入院)のおかしさと危うさ」について国の釈明を求める発言がありましたが、素人目には何が行われているのかわからないまま、開廷5分程度で裁判は終わりました。

閉廷後、一同は霞ヶ関の官庁街を歩いて、西新橋の貸会議室に向かいました。会議室に29名、Zoomで20名の会員がオンライン接続し、計49名の参加者で報告会が行われました。

2. 被告国側の準備書面の内容

報告会では、長谷川弁護士より、被告国側が裁判所に提出した準備書面(1)の説明を受けました。今回の書面は、原告側が提出した「訴状」に記載した事実に対して、被告側が内容を認めるか/認めないかの「認否」を示した書面でした。

一般に、裁判では、互いの主張に対して、次の三つのいずれかの姿勢を明らかにしなければなりません。

・「認める」→その主張は、事実として争わない。

・「不知」 →その主張は、事実として知らない。

・「否認」 →その主張は、事実と異なり争う。

今回の書面で、国側は、原告の訴状の内容に対し、客観的な法律の内容や通達、勧告の存在等は認めるものの、概ね「不知」ないしは「否認」という態度を示しました。「原告が十分な退院支援を受けることなく自らの意思に反して精神科病院で過ごしたこと」についても、「不知」のみならず「否認」するとして、争う姿勢を見せています。その上で、被告国は、原告に対して、原告が主張する不作為の具体的な内容及び作為義務を発生させる法的根拠を明らかにするよう求めてきました。

すなわち、国側は、全面的に争う姿勢は見せるものの、現時点で国側から積極的に精神医療政策等の正当性を主張することはせず、原告側に主張立証をするよう求める姿勢です。

3.質疑応答・意見交換

 弁護士からの報告・説明を受けて、会場内およびZoom接続参加者と報道の方からの質問を受けて、長谷川さんに解説をしていただきました。ここでは、当日出された質問と意見交換の内容の主要な点のみ、古屋のメモから記しておきます。

・いくつか入院の種類があるが、強制入院の際の入院をさせる医師の判断の根拠がよくわからないので教えて欲しい。

・医療保護入院の判断は「医療及び保護の必要性」によるとされているが、「保護」の定義は曖昧で明文化されているものはない。

・精神医療審査会が機能しているかというと、概ね書面審査のみで行われており形骸化している。

・退院請求が行われた際には、精神医療審査会が入院している病院まで調査に来るが、ほとんど退院には結びつかない現状。

・「不知」と国が主張する項目は、今後どのように扱われるのか?

・「不知」は知らないので、訴えた原告側に詳細な説明を求めるもの。

・原告としては、医療保護入院の状況は、改めるべきであったのに不作為のまま放置され、違憲状態にあるという主張になるか。

・伊藤さんが本来は退院できたのに、十分な退院支援を受けることなく長期入院に至った点を、国が「不知」としているのは、どのような主張か?

・国としては、伊藤さんの経緯については「知らない」という主張になると思われたが、「否認」という形で争う姿勢も見せている。

・カルテを見た上でも、国は伊藤さんの「社会的入院」を否定しているのか?

・社会的入院状態にあることまで国が「不知」としているのかは不明。

・被告席には、厚労省・法務省で訴訟を担当する4名。傍聴席に厚労省の担当官も来ていた。

・この裁判は、かなり長期化するかと思うが?

・裁判の進行については、弁護団側でどれだけ具体的な主張や証拠を示していけるかによる。

・次回期日では、より具体的に明らかにしろと求めている被告側に対して、原告側から具体的な主張や証拠を突きつけていく形になる。

・国は「全面的に争う姿勢」で間違いないか?

・前回の期日での釈明の内容を、書面で今回示してきた。「不知」「否認」で争う姿勢。

・憲法違反状態にあることについての釈明は、今後求めていく。

・家族が退院後を支えられず長期入院している人が多い。

・そもそも医療保護入院の仕組みの問題は大きい。権利擁護する家族が強制入院に同意する構造は、患者と利益相反のコンフリクトを生む構造になっている。医療保護入院が、今回の裁判の主要な争点の一つになってくる。

・精神医療審査会に退院請求ができるということが、入院患者さんにちゃんと伝えられているのか。

・そういう退院請求という仕組みがあること自体、知られていない。本来は患者に伝えられるべきことだが、実際に告知されているか不明。

・この裁判でも、それを患者に周知すべき義務があることを、国が指導監督して徹底されているかどうかが問題と可能性はある。

・精神医療審査会については、制度としてあっても患者の権利擁護のためにほとんど機能していない。

・入院の必要性の判断は、どのようにされるのか?

・法律家は入院の必要性については抑制的に考えるべきであるが、現状はどうか。医療従事者は本人の地域での状況も踏まえて保護的に関わる傾向があるのでは。

・審査会委員5名の内、現行法では精神保健指定医は「2名以上」とされたが、改正前と同様に、自治体によっては過半数の3名が医師を占め保護的に運用されている実態がある。

・審査会の状況等、具体的な数字を出して検討して行くことも必要。

・退院請求しても誰もフォローアップしてくれる人がいないと、一人で訴えていくのは難しい。

・弁護士等が権利擁護の立場で関わる仕組みが不十分である。

・「皆に迷惑かけてきたから」と退院したくても言い出せず、言葉を呑み込んでいる長期入院者も多い。

・フランスでは、入院時には必ず司法が関与して、判事が直接患者と会って入院の適否を判断する。措置入院についても同様。

・多くの欧米諸国では、本人の意思によらない入院の場合には、司法が関与してジャッジしている。

・医療保護入院の場合の「保護」の部分が、日本では入院要件として安易に拡大して使われている。

・この裁判の報道を見て、双葉病院に入院していた患者が、伊藤さんの当時の様子や双葉病院での生活の実情を証言してくれることになった。

4.おわりに

被告国側は提訴内容に対して「不知」もしくは「否認」の姿勢で全面的に争う姿勢を示しています。国が示した準備書面は、きわめて事務的で簡潔なもので、どのような理由で「不知」なのか、「否認」するのかの詳細は記されていません。

次回裁判の期日は、6月29日(火)の午前11時からと決まりました。今回と同じ、東京地裁の103号法廷になります。傍聴席は50人まで入れますが、開廷数分前にドアが開かれての先着順になります。傍聴券の抽選はありません。

被告国側が「不知」「否認」とした釈明に対して、原告弁護団が訴状の内容に即して反論を展開していきます。いよいよ実質的な審理が始まります。その頃の新型コロナの状況は不透明ですが、時間の折り合いがつくようでしたら、ぜひご参加ください。30分前までには、東京地裁のロビーに集合としたいと思います。

なお、報告会会場でのワンコインカンパは7146円でした。ご協力ありがとうございました。都心で会場を確保するには、どうしてもお金がかかります。今後ともよろしくお願いいたします。


引用元

古屋龍太「被告国側は不知/否認で全面的に争う姿勢~第2回口頭弁論の報告~」精神国賠通信,No.15;1-3,2021年5月発行


◆2nd Oral Argument April 20, 2021

1. Situation of the trial on the day

The second oral argument in the case with Tokio Ito as the plaintiff was held at the Tokyo District Court on April 20, 2021. Members of the Mental Health Research Institute gathered at 10 o'clock in the lobby of the district court. This time, it was held in courtroom 103, which can accommodate 50 people in the audience seats, and there was no lottery for audience seats. There were 32 people in attendance, as the state of emergency was about to be declared in Tokyo due to the spread of the new coronavirus infection.

The trial was an administrative one, confirming the preliminary documents submitted by the defendant country and adjusting the next date. The defense team made a statement requesting an explanation from the government regarding the ``odds and dangers of medical protection hospitalization (hospitalization with consent),'' but to the untrained eye it was unclear what was going on, and the trial ended within about 5 minutes of the opening. it's over.

After the court closed, the group walked through the government district of Kasumigaseki and headed to a rental conference room in Nishi-Shinbashi. The debriefing session was held with a total of 49 participants, with 29 members in the conference room and 20 members connecting online via Zoom.

2. Contents of the defendant country's preliminary documents

At the debriefing session, Attorney Hasegawa explained the preliminary document (1) submitted by the defendant country to the court. This document was a document indicating whether the defendant acknowledged or disapproved of the facts stated in the complaint submitted by the plaintiff.

Generally, in a trial, one of the following three stances must be made regarding each other's claims.

・“Accept” → The assertion is not disputed as fact.

・“I don’t know” → I don’t know the claim as a fact.

・“Denial” → The claim is different from the facts and is disputed.

In this document, the government acknowledged the existence of objective legal content, notices, and recommendations regarding the content of the plaintiff's complaint, but generally showed an attitude of "ignorance" or "denial." The lawsuit also shows a stance of contesting the fact that ``the plaintiff spent time in a psychiatric hospital against his will without receiving adequate discharge support,'' stating not only ``ignorance'' but also ``denial.'' Furthermore, the defendant country has requested that the plaintiff clarify the specific details of the omission alleged by the plaintiff and the legal basis for creating the obligation to act.

In other words, although the government is showing a stance of fighting the case fully, it is not actively asserting the legitimacy of its mental health policy at this point, and is instead asking the plaintiffs to prove their claims.

3. Q&A/opinion exchange

After receiving the report and explanation from the lawyer, and taking questions from participants in the venue and via Zoom connection, as well as the press, Mr. Hasegawa provided an explanation. Here, I will write down only the main points of the questions posed that day and the content of the exchange of opinions, from Furuya's notes.

・There are several types of hospitalization, but I would like to know the basis for the doctor's decision to admit the patient in the case of compulsory hospitalization, as I am not sure.

- Decisions on hospitalization for medical protection are said to be based on the ``need for medical care and protection,'' but the definition of ``protection'' is vague and there is no written document.

・As for whether the Psychiatric Review Board is functioning, it is largely a mere document review.

・When a request for discharge is made, the Psychiatric Medical Review Board comes to the hospital where the patient is admitted to investigate, but the current situation is that it almost never leads to discharge.

・How will items that the government claims are "unknown" be handled in the future?

- ``I don't know'' means I don't know, so I ask the plaintiff who sued to provide a detailed explanation.

・Will the plaintiff be able to argue that the situation of medically protected hospitalization should have been changed but was left unconstitutional due to inaction?

・What is the government's claim that it is ``ignorant'' that Mr. Ito was originally able to be discharged from the hospital, but ended up being hospitalized for a long time without receiving sufficient discharge support?

・The government was expected to claim that it did not know about Ms. Ito's background, but it has also shown a stance of contesting the matter by denying it.

- Even after looking at the medical records, does the government deny Mr. Ito's "social hospitalization"?

・It is unclear whether the government is considering the fact that he is in a state of social hospitalization as "unknown."

・In the defendant's seat are four people who are in charge of litigation at the Ministry of Health, Labor and Welfare and the Ministry of Justice. Officials from the Ministry of Health, Labor and Welfare were also present in the audience.

・I think this trial will be quite long.

・The progress of the trial will depend on how much concrete arguments and evidence the defense team can present.

・At the next date, the plaintiff will present concrete claims and evidence to the defendant, who is demanding more specific clarification.

・Is it true that the country is taking an ``all-out fighting stance''?

・This time, we have presented in writing the content of the explanation given at the previous date. An attitude of fighting based on ``ignorance'' and ``denial.''

・We will continue to seek an explanation for the violation of the constitution.

・Many people are hospitalized for long periods of time because their families are unable to support them after they are discharged from the hospital.

・In the first place, there are major problems with the system for medically protected hospitalization. The structure in which families defending their rights consent to forced hospitalization creates a conflict of interest with patients. Medical protection hospitalization will be one of the main issues in this trial.

・Are inpatients properly informed that they can apply for discharge to the Psychiatric Medical Examination Board?

・It is not even known that such a system for requesting discharge from hospital exists. This should originally be communicated to patients, but it is unclear whether this is actually done.

・There is a possibility that the issue in this trial is whether the government is thoroughly providing guidance and supervision to ensure that patients are aware of their obligation to do so.

・Although the Psychiatric Review Board exists as a system, it hardly functions to protect the rights of patients.

・How is the necessity of hospitalization determined?

- Lawyers should be cautious about the necessity of hospitalization, but what is the current situation? Medical workers tend to be involved in a protective manner, taking into account the situation in the patient's area.

・According to the current law, ``two or more'' of the five members of the review committee must be designated mental health physicians, but as before the revision, in some local governments the majority of physicians are three, which is used in a protective manner. There is a reality.

・It is also necessary to consider specific figures such as the status of the examination committee.

・It is difficult to file a complaint alone if there is no one to follow up on your request for discharge.

- Mechanisms for lawyers and others to be involved in the defense of rights are insufficient.

・There are many long-term hospitalized patients who are reluctant to leave the hospital even if they want to because they are causing trouble for everyone, and swallow their words.

- In France, the judiciary is always involved when a patient is hospitalized, with a judge meeting directly with the patient to determine whether hospitalization is appropriate. The same applies to hospitalization.

・In many Western countries, the judiciary is involved in making decisions when a patient is hospitalized against his or her will.

・The "protection" part in the case of medical protection hospitalization is easily expanded and used as a requirement for hospitalization in Japan.

・After seeing the coverage of this trial, a patient who had been hospitalized at Futaba Hospital came forward to testify about Mr. Ito's condition at the time and the reality of his life at Futaba Hospital.

4. in conclusion

The defendant country has shown a stance of ``ignorance'' or ``denial'' of the content of the lawsuit, fully contesting the lawsuit. The preliminary document presented by the government is extremely businesslike and concise, and does not provide any details as to the reason for the "unknown" or "denial."

The next court date has been set for June 29th (Tuesday) at 11am. It will be the same as this time, Courtroom 103 of the Tokyo District Court. Up to 50 people can be seated in the auditorium, but the doors will be opened a few minutes before the court starts on a first-come, first-served basis. There will be no lottery for tickets.

In response to the defendant country's explanations of "unknown" and "denial," the plaintiff's legal team will develop a counterargument based on the content of the complaint. The actual trial is about to begin. The situation with the new coronavirus at that time is unclear, but if you can make the time, please join us. We would like to meet at the lobby of the Tokyo District Court at least 30 minutes before the meeting.

The one-coin campaign at the debriefing venue was 7,146 yen. Thank you for your cooperation. Securing a venue in the city center is expensive. Thank you for your continued support.


Quote source

Ryuta Furuya, “Defendant country's attitude to fight full-throttle with ignorance/denial - report on second oral argument”, Shinkokubai Tsushin, No. 15; 1-3, published May 2021


第1回口頭弁論:2021年3月1日

1st Oral Argument :March 1, 2021

2024/2/8 16:10

◆第1回口頭弁論  2021年3月1日

2021年3月1日(月)に行われた第1回口頭弁論について、ご報告します。

当日に東京地裁に駆けつけていただいた皆さま、朝9時前にご参集をありがとうございました。地裁のロビーで簡単な打ち合わせ後に、一旦外に出て、地裁前で記念撮影をした後、横断幕を手に歩道を行進しました。報道関係の方も駆けつけてくださり、多数のカメラ・ビデオで撮影していただきました。

裁判には20~30名来ていただければと思っていましたが、開廷20分前の傍聴席抽選時には50名を超える方々がいらっしゃいました。抽選に当選しながら、傍聴券をお譲りいただいた方々、ありがとうございました。おかげさまで、小さな611号法廷でしたが、歴史的裁判の開始に立ち会うことができました。

【裁判の様子】

第1回裁判そのものは、通常の裁判でなされているような形式的なやりとりで終わりました。既に原告側の提出した訴状に対して、被告国側からは請求の棄却を求めて争う姿勢を示す答弁書が提出されていましたが、「追って理由は明らかにする」とする短いものでした。法廷では、被告国側の代理人から、「作為義務の根拠が訴状からは不明確である」旨の指摘がありましたが、裁判長とのやりとりのなかで、まずは被告国側が反論内容を明らかにしたうえで、その後に原告側が作為義務等を具体的に主張していくことになりました。そのやりとりを踏まえ、次回の裁判期日が4月20日に設定され、その1週間前の13日までに被告国が反論書面を提出することになりました。

その後、裁判長から「原告、意見陳述を」と求められ、原告の伊藤さんが立って、用意した書面を読み上げました。伊藤さんはかなり緊張されているようでしたが、自作の詩の朗読から始まり、入院中の思い、自分だけではなく自殺した仲間もいたこと、今も入院している人を出してあげたいと、伊藤さんがこの裁判に立った姿勢と明確な意思を述べました。しっかりと語られた思いの詰まった意見陳述の言葉は、聞いている者の胸に迫り、傍聴席で目頭が熱くなるのを止められませんでした。

その後、被告代理人弁護士の長谷川さんからの意見陳述では、原告の体験は原告だけではないこと、日本の精神医療の実態は同様の方が今も数万人いること、国は基本的人権が侵害されてきたことを漫然と放置してきたこと、この国の政策の被害者のひとりである原告の訴えを通して、国の責任を問う、と述べました。

【裁判報告会の様子】

閉廷後は、ロビーで待機していただいていた会員・支援者の皆さんと、隣接する弁護士会館に移動しました。佐藤弁護士に確保していただいた508号会議室で報告会を行いましたが、やはり50名以上の方々に参加していただき、満席で立ち見も出る状態でした。

報告会のZoom配信にアクセスしていただいた方も、20名いらっしゃいました。報告会前にお帰りになった方や、後から報告会に駆けつけていただいた方も含めると、約80名の方々に第1回口頭弁論・報告会に参加していただいたことになります。皆さまの思いのこもったご参加に、こころよりお礼申し上げます。

報告会では、Zoom配信の予告時間まで少し間があったため、副代表の杉山さんの発案で、月例会同様に参加者のひと言自己紹介から始まりました。参加者の一人からは「自分も原告になりたい」との声も挙がり拍手を浴びました。

その後、法廷に入れなかった方のために、改めて伊藤さんから意見陳述書を読み上げていただき、さらに長谷川弁護士からも代理人としての意見陳述書が読み上げられました。

これを受けて、参加者からの質疑応答を行いました。以下、質問の要旨のみ記しておきます。

・第1次提訴と言うことだが、第2次、第3次が予定されているのか?どちらの方か?

・福島県の精神科病院だったからなのか?都道府県格差があるのか?

・ホームページの更新が止まっているようだが、ネット等での情報発信がもっと必要では?

・裁判費用はどのように賄われているのか?

・被告国側の冒頭の問いにもあったが、立法不作為ないし行政の作為義務について、どのような根拠で釈明を求めていこうとしているのか?

・どのような争点になるかで異なろうが、今後の裁判で証人等を立てて行くのか?

・原告の伊藤さん、改めて法廷に立って、どのような思いであったか?

・第2次、第3次と原告候補が出ていることは、どのように受け止めておられるか?

・この場でワンコインカンパを募ってはいかがか?

・精神医療審査会が機能していないことがネックになっているのではないか?

・裁判官は、ずっと替わらないのか?


それぞれの質問に対して、簡潔に回答があった後に、今回弁護団を構成していただいた各弁護士から挨拶と所信表明をしていただきました。また、クラウドファンディングのCALL4についても、改めて紹介をいただきました。

おわりに杉山副代表、東谷代表から挨拶があり、最後は原告の伊藤さんから「今日は遠いところからお越しいただき、ありがとうございました。これからも施設症の方々のために戦っていきたいと思います。一人でも応援してくださるよう祈っています。宜しくお願いします」との挨拶で閉会となりました。

なお、次回期日は、4月20日(火)11時開廷ですが、裁判所から弁護士に連絡が入り、傍聴希望者数を踏まえて、法廷は大きな103号法廷に変更されました。今度は、50人まで入廷が許されますので、改めてご案内させていただきます。

また、報告会の場で参加者から提案していただいた「ワンコインカンパ」には、16,538円のご芳志をいただきましたことをご報告いたします。

これから長い道のりになるかと思いますが、どうか変わらぬご支援を宜しくお願いいたします。そして、この裁判に関心を寄せてくださる方々に、ぜひ入会と支援のお願いを広めていただければ幸いです。


引用元

古屋 龍太「精神国賠訴訟(第一次提訴)第1回口頭弁論の詳報」精神国賠通信,No.14;1-3,2021年3月発行


1st oral argument March 1 , 2021 _

We would like to report on the first oral argument held on Monday, March 1, 2021.

Thank you to everyone who rushed to the Tokyo District Court on the day of the hearing and gathered before 9 a.m. After a brief meeting in the lobby of the district court, they went outside, took a commemorative photo in front of the court, and then marched down the sidewalk with banners in hand. Members of the press also rushed to the scene, filming the event with numerous cameras and videos.

I had hoped that 20 to 30 people would come to the trial, but by the time the audience seats were drawn 20 minutes before the trial, over 50 people had come. Thank you to everyone who won the lottery and gave away their tickets. Thanks to you, I was able to witness the start of the historic trial, although it was a small courtroom No. 611.

[Status of trial]

The first trial itself ended with the same formal exchanges that take place in a normal trial. In response to the complaint filed by the plaintiff, the defendant state had already submitted a written response stating that it would fight for the dismissal of the claim, but it was a short answer stating that ``the reasons will be disclosed later.'' . In court, a representative for the defendant country pointed out that ``the basis of the obligation to act is unclear from the complaint,'' but during an exchange with the presiding judge, the defendant country first clarified its counterargument. After that, the plaintiff side decided to specifically allege the obligation to act, etc. Based on these exchanges, the next court date was set for April 20th, and the defendant country had until April 13th, one week before that date, to submit its rebuttal.

Afterwards, the presiding judge asked, ``Plaintiff, state your opinion,'' and Ms. Ito, the plaintiff, stood up and read out the document she had prepared. Ms. Ito seemed quite nervous, but she began by reading a poem she had written, and then talked about her thoughts while in the hospital, how not only herself but also her friends had committed suicide, and how she wanted to help those who were still in the hospital. , Ms. Ito expressed her stance and clear intentions in this trial. The well-spoken words of the opinion statement filled with thoughts touched the hearts of those listening, and they could not stop their eyes from heating up in the audience seats.

Afterwards, Mr. Hasegawa, the lawyer representing the defendant, stated his opinion that the plaintiff was not alone in his experience, that the reality of Japan's mental health care is that there are still tens of thousands of people in the same situation, and that the country is not treating basic human rights. He stated that he would hold the government accountable for neglecting the violations that have been committed, through the complaint of the plaintiff, who is one of the victims of this country's policies.


[Court report session]

After the court closed, members and supporters who had been waiting in the lobby moved to the adjacent Bar Association Building. We held a debriefing session in conference room 508, which was secured by Attorney Sato, and as expected, more than 50 people attended, and the room was full with some standing.

There were 20 people who accessed the Zoom broadcast of the debriefing session. Including those who left before the debriefing session and those who rushed to the debriefing session afterwards, approximately 80 people participated in the first oral argument and debriefing session. . We would like to express our sincere gratitude to everyone for their heartfelt participation.

At the debriefing session, there was a little time until the preview time for the Zoom broadcast, so at the suggestion of vice president Mr. Sugiyama, we started with the participants introducing themselves in a few words, just like in the monthly meeting. One participant said, ``I want to be a plaintiff too,'' which drew applause.

Afterwards, for those who were unable to enter the courtroom, Mr. Ito read out his statement of opinion once again, and attorney Hasegawa also read out his statement of opinion on his behalf.

This was followed by a question and answer session from the participants. Below is only the gist of the question.

・This is the first lawsuit, but are there any plans for a second or third? Which one?

・Is it because it was a psychiatric hospital in Fukushima Prefecture? Are there disparities between prefectures?

・It seems that the homepage has stopped being updated, but don't you think there is a need to disseminate more information on the internet?

・How are court costs covered?

・As mentioned in the opening question of the defendant country, on what basis is it seeking an explanation regarding the legislative inaction or the administrative obligation to act?

・Will witnesses be brought forward in future trials, although it will depend on the type of issue at issue?

・Mr. Ito, the plaintiff, how did you feel after standing in court again?

・How do you view the fact that there are 2nd and 3rd plaintiff candidates?

・Why not raise a one-coin donation here?

・Isn't the fact that the Psychiatric Review Board is not functioning being a bottleneck?

・Do judges never change?


After briefly answering each question, the lawyers who made up the defense team gave greetings and expressed their beliefs. We also received another introduction to the crowdfunding CALL4.

At the end, Deputy Representative Sugiyama and Representative Higashitani gave greetings, and the plaintiff, Mr. Ito, said, ``Thank you for coming from a far away place today.I would like to continue to fight for the people living in institutional care.'' However, I hope that you will support me.Thank you for your support,'' he said, closing the meeting.

The next court date is April 20th (Tuesday) at 11:00 a.m. However, the court has contacted lawyers and, based on the number of people wishing to attend, the courtroom has been changed to the larger courtroom No. 103. We would like to inform you that up to 50 people will be allowed in the court this time.

We would also like to inform you that we received a donation of 16,538 yen for the ``One Coin Campaign'' proposed by the participants at the debriefing session.

We know it will be a long road ahead, but we appreciate your continued support. We would also appreciate it if you would please spread the word to those who are interested in this trial to join us and support us.


Quote source

Ryuta Furuya, “Details of the 1st Oral Argument in the Shinkokokubai Litigation (First Filing),” Shinkokubai Tsushin, No. 14; 1-3, published March 2021

提訴後の記者会見  2020年9月30日

Press conference after filing suit September 30, 2020

2023/10/17 10:13

◆提訴後の記者会見  2020年9月30日

○日時:2020年9月30日(水)午後3時~4時

提訴後の記者会見

○場所:厚生労働省記者クラブ

○主催:精神医療国家賠償請求訴訟研究会

○登壇者:

原 告    伊藤  時男

担当弁護士 長谷川敬祐

担当弁護士 佐藤  暁子

代  表    東谷 幸政

副代表      杉山恵理子  

事務局長   古屋 龍太(進行)

○次 第

1)開会挨拶 東谷代表 

2)原告挨拶 伊藤時男氏 

3)提訴報告 長谷川弁護士+佐藤弁護士

4)記者の方との質疑応答 

5)今後の運動方針説明 杉山副代表 

6)閉会

7)個別取材・質疑対応


1.開会の挨拶に代えて 精神国賠研代表 東谷 幸政

私は、35年間、精神医療福祉の世界で働きましたが、あまりにも酷い精神医療に苦しむ当事者の方や、過酷な差別と偏見、経済的負担に苦しむ家族の姿を数多く見てきました。あまりにも多くの人々が苦しんでおられます。

ノーベル文学賞作家のアレクシエービッチは「戦争は女の顔をしていない。」と書きましたが、私が日本の精神医療福祉の世界で感じてきたことも同じでした。「日本の精神医療は、人間の顔をしていない。」

世界の精神科ベッドの2割もが日本にあります。世界に類を見ない、超長期の入院患者があまりにも多数います。国は、このような実態を知りながら、ほとんど解決策を示さず、放置を続けてきました。精神科特例という、他の診療科に比べて格段に少ないスタッフで構わないという差別もあります。我が国の精神科病床のほとんどが民間病院で、営利主義にまみれています。営利のために患者を閉じ込めて、人生を奪うという、人道に反することが当たり前という、異常な世界がこの国の精神医療にはあります。

私は、この日本の精神医療の現状を、怒りと悲しみを持って見てきました。そのため、2013年の1月にこの研究会を立ち上げました。目的は、勿論、国家賠償請求訴訟を行うことですが、そのために我が国の精神医療の歴史、国際基準との比較、現状の把握などの研究と資料の収集を行って来ました。

多くの当事者や家族、こころある精神医療福祉関係者の切実な思いを背負っています。原告を公募して、裁判を行うという方式に対する迷いもありましたが、呼びかけに応じて下さる精神医療の人生被害者の皆さんが現れました。皆さんは、私利私欲のためでなく、精神科医療の人生被害者をこれ以上出さないために立ち上がってくれた人たちです。私たちは、この皆さんとともに、裁判を通じて国民に我が国の精神医療の実態を知っていただき、変えたいと願っています。

この裁判は、勝たなければならない裁判ですが、その結果はわかりません。しかし、結果がどうであれ、この裁判闘争が日本の悲惨な精神医療の現状を変えるきっかけになればと願っています。国連からの改善勧告や非難決議、WHOの改善勧告、ICJ(国際法律家委員会)からの改善勧告によっても変わることのなかった我が国の精神科医療が変わり、精神障害をもった人々が地域社会の中で生きられる社会に近づくために貢献したいと願っています。


2.原告からの挨拶(要旨) 原告 伊藤 時男

福島の病院に39年入院してきました。退院するまでの努力は並大抵のことではなかったです。諦めない気構えでいたのが良かったと思います。

施設症になっている患者さんたちを、たくさん見てきました。今まで退院を目指してきたのに、耐えかねて、自殺していった人(患者)をみてきました。線路に飛びこんで自殺した人もいました。施設症の患者さんが今もたくさんいます。かわいそうだなと思って、私ができることは何かと考えたら、国に訴えることでした。

なぜ病院にずっといるかというと、長期入院で病院が良いと考えてしまい、退院しても何もできないと考えるようになってしまっているんですね。私も福島の病院では施設症になっていました。車の免許もないし、社会生活ができない、どうしようもないと諦めていました。

東日本大震災が起き、病院が廃院になって福島第一原発が爆発し、その地域も放射能区域だったため転院になりました。最後の転院先は茨城で、そこは1年半で退院できた。福島の病院では、退院の話はなかった。そこは経営重視だったから、退院できなかったのだと思います。

私が裁判を起こすきっかけは、施設症になって居る人を無くすためです。国に訴えたいのは、施設症をつくっている病院があまりに多いので、施設症を無くしてもらいたいからです。


3.訴状の概要  担当弁護士 長谷川敬祐

本日、東京地方裁判所に対し、精神医療政策の違法性を問う国家賠償請求訴訟を提訴いたしました。その概要について、以下のとおり、説明させていただきます。

本裁判の概要

本裁判は、統合失調症に罹患しているとして、約40年間もの間、精神科病院への入院を余儀なくされた原告が、被告を国として、損害賠償を求めるものです。

隔離収容政策に対する国家賠償請求という意味では、らい予防法違憲訴訟(ハンセン病)と類似しますが、精神医療の問題はより複雑です。らい予防法は、立法の不作為による違法性と厚生大臣の政策の違法性の双方が裁判の争点となりましたが、本裁判は、厚生大臣ないしは厚生労働大臣の政策の違法性のみを問う裁判です。

本裁判で問う政策の違法性の具体的な内容は、要旨、次のとおりです。

まず、日本の精神医療政策が、①精神障害のある人は社会にとって危険性のある者であるという位置づけのもと、同意入院(現・医療保護入院)が規定され、精神衛生法が成立したこと、②精神障害のある人を、長期収容を前提して民間病院に委ね、民間病院の設立を容易にしたり、医師や看護師数が一般科よりも少なくて構わないとする、いわゆる精神科特例を設けたこと、③欧米諸国が入院医療から地域医療や地域福祉への移行を具体的に検討し、政策を転換してきたのに、日本は少なくとも原告入院時期との関係では、医療政策、予算いずれも実効的な転換を行ってこなかったこと、④強制入院であるにもかかわらず、精神衛生法の同意入院の実体的な要件は極めて曖昧であり、その審査手続も不十分であること、⑤上記構造で形成された地域社会側の偏見があるにもかかわらず、強制入院の同意者として家族を位置付け、家族に本人の人権擁護とのジレンマを負わせ続けてきたこと(*そのような家族が入院継続を希望せざるを得なくなったことが、長期入院の正当性の根拠とされてきたことを前提とします)等から、構造的に長期入院が生じる状態となっていたことを前提とし、それによって生じた長期入院により、我々が当たり前のように享受している地域で生きる権利を剥奪されたことは、憲法13条、憲法14条、憲法22条1項、憲法25条に違反し、併せて、適正手続きを受ける権利の保障がないまま長期入院がなされたことは憲法31条に違反する状態であったことを主張したうえで、

そのような憲法違反の状態が生じていること、それを是正すべき必要性があることは、昭和43年5月30日のクラーク勧告の時点で明らかであり、遅くとも国際連合の「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」を日本が採択した平成3年12月には、厚生大臣ないしは厚生労働大臣が、隔離収容政策から地域医療への転換を実施し、長期入院者に対する実効性のある退院措置を講じる必要性があると認識したにもかかわらず、これを放置したことは国賠法上の違法である(政策転換、実効的な退院措置をすべき作為義務が生じていたのに、これを放置した不作為が違法である)、と主張しています。


4.記者の方との質疑応答(要旨) 

■フリーランス

―福島での40年のあいだ、退院したいという思いがあったと思うが、院外作業などしたことはあるか。

(伊藤さん)院外作業は、養鶏場1年、工場1年半、次に備品の会社1年半、そして養鶏場に戻り10年。働いても退院の話はなかったのでまた働いた。院内作業は、厨房13、14年。

■信濃毎日新聞 

―もっと早く退院できたらどのような人生だったと思うか。

(伊藤さん)退院できたら彼女もできたし、結婚もできたと思う。病院では何もできない、男女関係もうるさい。退院したら自由でカラオケに行ったりできる。子どもをもつことは夢でした。

■共同通信社

―同意による入院ということは、伊藤さんは任意入院だったのか。

(長谷川弁護士)記録上は平成15年4月までは医療保護入院、その後は任意入院。

―そうすると、任意入院でも退院は難しい仕組みとわかるが、伊藤さんのご家族が退院の申し出をしたけど退院できなかったのか、それとも退院を言い出すことができなかったのか。

(伊藤さん)父親は退院させる気がなかった。父親が言うには、病院が、誰がみても退院してもいいなら退院させてあげるとかあいまいに言ってきたそうで、父親は退院を言い出せなかった。

―伊藤さんは、社会生活ができそうだが、40年退院できなかったのが一般の方からはわかりにくい。

(長谷川弁護士)伊藤さんがくり返している「施設症」がありますが、こうなると退院したいとは思わない、任意入院に切り替わったという認識が伊藤さんにもなかった。

(佐藤弁護士)一般にはわかりにくい、まさにそれが精神医療の課題と認識している。精神科(閉鎖病棟)は閉ざされた空間で、ドアには鍵がかかっており外に出ることはできない。そこで小さな社会が出来上がってしまう。そうすると「施設症」になってしまう。私たちがいる日常からかけ離れたところにある。この閉鎖社会を作りだした国が開放するためにすべきことを全くせず、伊藤さんがどんなに頑張ってもどうにもならなかった。これが国に提訴するところで、まだまだ施設症の人がたくさんいることから、国に対して国はなにをすべきなのか、訴えている。

(伊藤さん)施設症になりかかっている人は、退院しても自分では何もできないと思っている。私も経済的に余裕がなかった、入院費が払えなかったから私もそう思っていた。でも、あるとき医師から障害年金が出るようにしてやるからと言われて、さらに東日本大震災が起きて賠償金が出て、経済的余裕が出て退院しようと思った。

(長谷川弁護士)この回答を、伊藤さんに尋ねるのは酷である。あたりまえのことが伊藤さんにとってはあたりまえではないので、それを改めて問うのがこの裁判と思ってもらえると嬉しい。

■西日本新聞

―医療保護入院の必要性は争点になっていないのか。

(長谷川弁護士)伊藤さんが今のような(寛解)状態が何十年も続いていたことは間違いなく、この伊藤さんをみて入院の必要性があるのですか?と問いたい。そういうことを裁判で主張していくことになると思う。国は、病院の管理者がそのように判断したのであるから、入院はやむを得ないと言ってくるかもしれない。私たちは、それは「社会的入院」であると言っていくようになるのではないかと思う。

■東洋経済オンライン

―平成15年に任意入院に切り替わったときは、どんな様子であったか。

(伊藤さん)養鶏場で働いていたと思う。退院したい気持ちがあったから働いていた。

(長谷川弁護士)伊藤さんの記録から読み取る限り、お父さんが亡くなられて、お父さんのために伊藤さんは頑張ってきたのでぷつんと途切れた時期だと思う。退院したい気持ちは薄れていったのかなと予想される。

―病院に動きがなかったのはなぜでしょうか。

(伊藤さん)東日本大震災の前にグループホームに行かないかと言われていたが、施設症になってしまっていて退院する気がなかった。

―今回の訴訟とハンセン病や強制不妊裁判の類似点、相違点を教えてほしい。

(長谷川弁護士)ハンセン病に関しては、医療的に治りますとの世界的水準として明らかであったにもかかわらず、国が放置した立法不作為であったためわかりやすかった。他方で、隔離収容の点では全く同じだが、精神病については治癒してどうなるのか、基準化することは容易ではない。容易ではないことから、はっきりと違法性とは言いにくいことはあるかもしれない。ただ、複合的要因に基づいてみれば、ハンセン病より先に精神科医療はクラーク勧告などがあり助言があった。むしろ、より早く開放の方向に向かうべきだったと思われる。

(佐藤弁護士)大きな共通点は「障害者」というカテゴリー化とカテゴリーに対する差別、偏見を国が幇助してきた。あるいは積極的にそれを行い、隔離収容を正当化してきたことにある。差別、偏見を作り出したこともあり、国は1人の基本的人権を守る義務を放棄していること、満たしていない根本的なことも共通している。いまでも差別、偏見は根強く残っていることにも繋がっている。

■朝日新聞

―今後、日本にこういうものがあればというものがあれば教えてほしい。

(東谷代表)カナダのバンクーバーは、ほとんど長期入院はなく、短期入院である。アウトリーチがある。日本はグループホームがあるがステレオタイプである。日本も地域で暮らすための制度を生かして短期入院することにすればいいと思う。

(長谷川弁護士)欧米は、そもそも長期入院は人権侵害だからだめなものとの認識がある。地域に足りないもの、必要なものは地域に予算をつける。日本で、コーディネートに予算をつけるのは一つの展開だと思う。

■弁護士ドットコム

―長期入院期間の年齢を教えてほしい。

(伊藤さん)16歳の後半17歳前半から、いったん退院も含めて61歳まで。なかで、一番長いのが福島の39年で、一度も退院していない。

―患者さんが自殺した話を先ほどされたが、伊藤さんは自殺を考えたことあるか。

(伊藤さん)ある。東京の病院に入院していたとき飛び降りたことある。

―40年はとても長いと思うが、入院期間につい

て教えてほしい。

(伊藤さん)もっと長い人がいる。46年入院していた人がいた。

(東谷代表)630調査(精神保健福祉資料)のデータが出ている。

(古屋事務局長)いったん退院(転院)すると期間はリセットされる。長期入院者の本当の実態を明らかにした統計は未だにない。

■西日本新聞

―日本の精神科病院は経営がからみ、民間病院がほぼ占めているが。

(東谷代表)地域医療を展開している国は公営である。日本は民営でこれは変わらないので、司法の力を借りるしかない。

―保護者を必要とする制度(医療保護入院)についてどう考えるか。

(長谷川弁護士)精神科医療と家族の関係でみるならば、家族が同意者になる、責任を負うという制度は変えるべき。厚生行政に携わる人の中には、家族が入院してほしいと言っているのに、なぜここまで「人権」と言われなければならないのかと思う人がいるらしい。家族は、世間からなぜ精神障害者をかくまっているのかと思われるので、入院させないと家族は自分たちの地域での居場所がなくなると恐れる。そして、家族が言えば(同意すれば)病院は入院させる。これが長期入院を生み出している構造と思う。裁判に関係するかは別問題だが、これも変わらないとならない。


5.今後の活動方針−記者の方々にお願い  精神国賠研副代表 杉山恵理子

今まで私がお目にかかってきた方々の「生まれてきてはいけなかったのか」「1日でいいから病院の外で暮らしたい」などの声が走馬灯のように今頭の中にあります。

これは、今回伊藤さんが非常な勇気をもって原告になってくださって成り立った提訴です。それは、まだ病院の中におられて退院の希望を何度も打ち砕かれて絶望し施設症になってしまったたくさんの方々を、どうにか自分のように自由にのびのびと暮らさせてあげたいという伊藤さんの思いによる提訴です。私たち国賠研も同じ思いで今回の提訴を第一次提訴と位置付け、各地で順次提訴を予定しています。そのため、この国の精神医療行法政の被害者として、このような不当な強制入院を強いられてきた経験を有する方々に原告の候補になっていただきたい。そしてまた、裁判の証言者として、自分たちがどんな思いでどんなふうに病院で生活をしていらしたのか、一般には全く覗き込むことができない状況にある闇に包まれた病院の中から、中の体験としてぜひ証言を聞かせていただきたいと考えています。

また、現行の医療保護入院制度では、患者本人だけでなく家族もまた同意を迫られている被害者と言えます。そこには「この子が不憫でならない、代われるものならどんなに代わりたいか」と泣く家族の姿があります。どれだけ多くの家族の絆がこの制度によって壊されてきたことか。国の政策の問題として、将来的にはご家族を原告とする国家賠償請求訴訟の提訴も視野に入れて可能性を追求していきたいと考えているところです。

今後10月1日以降、以下の問い合わせ電話窓口を開設いたします。原告候補者・証言者・支援者(新入会者・カンパ)を募集していく予定です。どうぞ皆様方におかれましては、こういう方々を私たちがどんな思いで求めているのかご理解いただき、広く周知していただけるよう、ご協力をよろしくお願いいたします。

  問い合わせ窓口Tel: 03-6260-9827(10:00~20:00担当者交代制)

精神国賠研はとても小さな任意団体です。「この国で誰でも安心してかかれる精神医療」を創るためには、私たちだけの力では到底及びません。世論の喚起が必要だと考えています。そのため、ぜひ報道関係者の尽力をいただき、裁判の経過も含めて、広く報道していただきたいと願っています。私たちの団体、精神国賠研では、記者の方からの取材の申し出があれば積極的に応じさせていただいております。よろしくお願いいたします。

みなさまのお力添えにより世論が喚起できて、この裁判に勝訴できることを願っております。

(出席記者14名/精神国賠研会員12名)


引用元

古屋龍太「第1次訴訟提起―記者会見詳報」精神国賠通信,No.10;1-7,2020年10月発行


○Date and time: Wednesday, September 30, 2020, 3:00 p.m. to 4:00 p.m.

○Place: Ministry of Health, Labor and Welfare Press Club

○ Sponsored by: Psychiatric National Compensation Litigation Study Group

○Speakers:

Plaintiff Tokio Ito

Attorney in charge: Keisuke Hasegawa

Attorney in charge Akiko Sato

Representative Yukimasa Higashitani

Vice Representative Eriko Sugiyama

Executive Director Ryuta Furuya (Proceeding)

○th

1) Opening speech by Representative Higashitani

2) Greetings from the plaintiff: Mr. Tokio Ito

3) Lawsuit report Attorney Hasegawa + Attorney Sato

4) Q&A with reporters

5) Explanation of future campaign policy Vice Representative Sugiyama

6) Closing

7) Individual interviews/Q&A


1. In place of the opening speech, Yukimasa Higashitani, representative of the Institute for Mental Health Research

I have worked in the field of mental health and welfare for 35 years, and I have seen many people suffering from extremely severe mental health care, as well as families suffering from severe discrimination and prejudice, as well as financial burdens. Too many people are suffering.

Alexievich, a writer who won the Nobel Prize in Literature, wrote, ``War has no female face,'' and I have felt the same way in the world of mental health and welfare in Japan. "Japanese mental health care does not have a human face."

20% of the world's psychiatric beds are located in Japan. There are far too many patients hospitalized for extremely long periods of time, which is unprecedented in the world. Although the government was aware of this situation, it has continued to ignore the situation without offering any solutions. There is also a special case for psychiatry, which allows the department to have far fewer staff members than other clinical departments. Most of the psychiatric beds in our country are in private hospitals, which are dominated by profit-making. There is an abnormal world in mental health care in this country, where inhumane practices such as locking up patients and depriving them of their lives for profit are commonplace.

I have watched the current state of mental health care in Japan with anger and sadness. For this reason, we established this study group in January 2013. The purpose, of course, is to file a lawsuit for compensation from the state, but for this purpose we have conducted research and collected materials, including the history of mental health care in Japan, comparisons with international standards, and understanding of the current situation.

I am carrying the earnest feelings of many people involved, their families, and those involved in mental health and welfare. There was some hesitation about the idea of inviting plaintiffs publicly and holding a trial, but many victims of mental health care in their lives responded to our call. All of you are the people who stood up for us, not for personal gain, but to prevent any more people from becoming victims of psychiatric treatment. Together with all of you, we hope that through the trials, the people will learn about the reality of mental health care in our country and that we can change it.

This is a trial that we must win, but we do not know the outcome. However, regardless of the outcome, I hope that this court battle will serve as an opportunity to change the current situation of Japan's pathetic mental health care. Japan's psychiatric care, which had not changed despite recommendations for improvement and resolutions of condemnation from the United Nations, recommendations for improvement from the WHO, and recommendations from the ICJ (International Commission of Jurists), has changed, and people with mental disorders are now being treated in the local community. I hope to contribute to moving closer to a society where people can live in harmony.


2. Greetings from the Plaintiff (Summary) Plaintiff Tokio Ito

I have been hospitalized in a hospital in Fukushima for 39 years. The effort it took to get discharged from the hospital was no mean feat. I think it was a good thing that I was determined not to give up.

I have seen many patients suffering from institutional disease. I have seen patients (patients) who had been trying to get out of the hospital but couldn't bear it anymore and committed suicide. Some committed suicide by jumping onto the railroad tracks. There are still many patients with institutional disease. I felt sorry for them, and when I thought about what I could do, I decided to appeal to the government.

The reason why people stay in the hospital all the time is because they think that the hospital is good for long-term hospitalization, and they start to think that there is nothing they can do even after they are discharged. I also suffered from institutional illness at the hospital in Fukushima. I didn't have a driver's license, I couldn't have a social life, and I had given up, thinking there was nothing I could do.

The Great East Japan Earthquake occurred, the hospital was closed, the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant exploded, and the area was also a radioactive area, so I was transferred to another hospital. The last hospital I was transferred to was Ibaraki, where I was able to be discharged after a year and a half. There was no talk of him being discharged from the Fukushima hospital. I think I couldn't leave the hospital because the emphasis was on management.

My reason for filing a lawsuit is to eliminate people suffering from institutional disease. The reason I want to appeal to the government is because there are too many hospitals that are creating institutional disease, and I want them to eliminate institutional disease.


3. Keisuke Hasegawa, lawyer in charge of the complaint summary

Today, we filed a lawsuit with the Tokyo District Court demanding national compensation, alleging the illegality of our mental health policy. I would like to explain the outline as follows.

Summary of this trial

In this case, the plaintiff, who suffered from schizophrenia and was forced to stay in a psychiatric hospital for approximately 40 years, seeks damages from the state as the defendant.

This case is similar to the lawsuit against the unconstitutionality of the Leprosy Prevention Act (Hansen's disease) in the sense that the state seeks compensation for its isolation and detention policy, but the issue of mental health care is more complex. Regarding the Leprosy Prevention Act, the issues at issue in the court were both the illegality due to legislative inaction and the illegality of the policies of the Minister of Health, Labor and Welfare, but this case is a trial that only questions the illegality of the policies of the Minister of Health, Labor and Welfare or the Minister of Health, Labor and Welfare. .

The specific details of the illegality of the policy being questioned in this trial are as follows.

First of all, Japan's mental health policy was as follows: (1) Based on the positioning of people with mental disorders as dangerous to society, consensual hospitalization (currently known as medical protection hospitalization) was stipulated, and the Mental Health Act was enacted. (2) So-called psychiatry, which entrusts people with mental disorders to private hospitals with the premise of long-term incarceration, makes it easier to establish private hospitals, and allows fewer doctors and nurses than general hospitals. (3) Although Western countries have specifically considered the transition from inpatient medical care to community medical care and community welfare and have changed their policies, Japan has changed its medical policy, at least in relation to the time of the plaintiff's hospitalization. (4) Despite the fact that it is compulsory hospitalization, the substantive requirements for consensual hospitalization under the Mental Health Act are extremely vague, and the examination procedures are insufficient. 5.Despite the prejudice on the part of the local community formed by the above structure, families have been positioned as those who have consented to forced hospitalization, and families have continued to be burdened with the dilemma of protecting their own human rights. It is assumed that the justification for long-term hospitalization is that the patient's family had no choice but to request continued hospitalization. Article 13 of the Constitution, Article 14 of the Constitution, Article 22, Paragraph 1 of the Constitution, and Article 25 of the Constitution state that due to the resulting long-term hospitalization, we were deprived of the right to live in the community that we take for granted. In addition, the patient's long-term hospitalization without guaranteeing the right to due process was a violation of Article 31 of the Constitution.

It was clear at the time of the Clark Recommendation on May 30, 1961 that such a state of violation of the Constitution was occurring and that there was a need to rectify it. In December 1991, when Japan adopted the ``Principles for the Protection of People with Mental Health Care and the Improvement of Mental Health Care,'' the Minister of Health, Labor and Welfare or the Minister of Health, Labor and Welfare implemented a shift from a policy of isolation and detention to community medical care. Despite recognizing the need to take effective discharge measures for long-term hospitalized patients, it is illegal under the National Liability Act to ignore this (policy change, effective discharge measures should be taken). It is argued that the omission to act even though there was a duty to act is illegal.


4. Q&A with reporters (summary)

■Freelance

- During your 40 years in Fukushima, you must have wanted to be discharged from the hospital, but have you ever done any work outside the hospital?

(Mr. Ito) I worked outside the hospital for one year at a poultry farm, then at a factory for one and a half years, then at an equipment company for one and a half years, and then returned to the poultry farm for 10 years. Even though I worked, there was no talk of being discharged from the hospital, so I went back to work. Work in the hospital was in the kitchen for 13 and 14 years.

■Shinano Mainichi Newspaper

-What do you think your life would have been like if you had been discharged from the hospital sooner?

(Mr. Ito) If I could have been discharged from the hospital, I would have gotten a girlfriend and gotten married. There's nothing you can do at the hospital, and the relationship between men and women is noisy. After being discharged from the hospital, I am free to go to karaoke. Having children was a dream.

■Kyodo News

- Was it voluntary hospitalization for Ms. Ito, given that she was admitted with consent?

(Lawyer Hasegawa) According to the records, he was admitted for medical protection until April 2003, and then voluntarily admitted.

-Then, it becomes clear that it is difficult for Mr. Ito's family to be discharged even after voluntary admission, but did Mr. Ito's family request to be discharged but were unable to do so, or were they unable to request that he be discharged?

(Mr. Ito) His father had no intention of letting him leave the hospital. According to his father, the hospital vaguely told him that they would let him leave the hospital if it was okay for everyone to see, so his father couldn't get him to leave the hospital.

- Mr. Ito seems to be able to lead a social life, but it is difficult for the general public to understand that he was unable to leave the hospital for 40 years.

(Lawyer Hasegawa) Ms. Ito has been suffering from ``facility syndrome'' repeatedly, but she did not realize that she did not want to be discharged from the hospital or that she had switched to voluntary hospitalization.

(Attorney Sato) I recognize that this is a problem in mental health care that is difficult for the general public to understand. The psychiatry ward (closed ward) is a closed space, and the doors are locked, so you cannot go outside. A small society is formed there. If you do that, you will end up with "institutional disease." It is far removed from our daily lives. No matter how hard Ito tried, the country that created this closed society did nothing to open it up. This is where we are suing the government, and since there are still many people suffering from institutional illness, we are appealing to the government as to what it should do.

(Mr. Ito) People who are on the verge of becoming institutionalized think that they can't do anything for themselves even after being discharged from the hospital. I didn't have the financial means to pay for the hospitalization, so I thought so too. However, one day, my doctor told me that he would make sure that I received a disability pension, and then the Great East Japan Earthquake occurred and I received compensation money, so I decided to leave the hospital because I had more financial leeway.

(Lawyer Hasegawa) It is cruel to ask Mr. Ito to give this answer. What seems obvious to me is not obvious to Ms. Ito, so I would be happy if people would think of this trial as a way to ask that question once again.

■Nishinihon Shimbun

- Isn't the necessity of medical protection hospitalization a point of contention?

(Attorney Hasegawa) There is no doubt that Ms. Ito has been in the state she is in (remission) for decades, so is there a need for her to be hospitalized? I want to ask. I think this will be argued in court. The government may argue that hospitalization is unavoidable because the hospital administrator made that decision. I think we will come to call it ``social hospitalization.''

■Toyo Keizai Online

- What was the situation like when the hospital was switched to voluntary hospitalization in 2003?

(Mr. Ito) I think he worked at a poultry farm. I worked because I wanted to get out of the hospital.

(Lawyer Hasegawa) As far as I can read from Mr. Ito's records, I think that after his father passed away, Mr. Ito had been working hard for his father, so it was a time when his life stopped. It is expected that the desire to be discharged from the hospital may have waned.

-Why was there no activity at the hospital?

(Mr. Ito) Before the Great East Japan Earthquake, I was asked to go to a group home, but I had developed facility disease and had no desire to leave the hospital.

- Please tell us the similarities and differences between this lawsuit and the Hansen's disease and forced sterilization trials.

(Attorney Hasegawa) Regarding Hansen's disease, it was easy to understand that even though it was clear according to the world standard that it was medically curable, it was a result of legislative inaction left unchecked by the government. On the other hand, although it is exactly the same in terms of isolation and detention, it is not easy to standardize what will happen after mental illness is cured. Since it is not easy to do so, it may be difficult to say that it is clearly illegal. However, if we look at multiple factors, we can see that prior to Hansen's disease, advice was given regarding psychiatric care, including the Clark Recommendation. In fact, I think they should have moved in the direction of opening up sooner.

(Lawyer Sato) The major commonality is that the state has assisted in the categorization of people with disabilities and the discrimination and prejudice against that category. Or perhaps they have actively done so to justify their isolation and detention. They have created discrimination and prejudice, and they also have in common that the state has abandoned its obligation to protect the fundamental human rights of each individual, and that they are not fulfilling the fundamental requirements. This also means that discrimination and prejudice still remain deep-rooted.

■Asahi Shimbun

-If there is anything like this that you would like to see in Japan in the future, please let me know.

(Representative Higashitani) In Vancouver, Canada, there are almost no long-term hospitalizations, only short-term hospitalizations. There is outreach. Japan has group homes, but they are a stereotype. I think Japan should also take advantage of the system for living in the community and allow people to be hospitalized for a short period of time.

(Lawyer Hasegawa) In the West, there is a perception that long-term hospitalization is a violation of human rights and therefore unacceptable. We allocate a budget to the region for what the region lacks or needs. I think that setting a budget for coordination is a trend in Japan.

■Bengoshi.com

-I would like to know the age of the long-term hospitalization period.

(Mr. Ito) From the latter half of 16 years old, early 17 years old, up to 61 years old, including once discharged from the hospital. The longest of these was in Fukushima for 39 years, and he has never been discharged from the hospital.

-You mentioned earlier that a patient committed suicide, but have you ever thought about suicide, Mr. Ito?

(Mr. Ito) Yes. I once jumped when I was hospitalized in a hospital in Tokyo.

―I think 40 years is a very long time, but the length of hospitalization

I would like you to tell me.

(Mr. Ito) There are people who have longer lives. There was a person who had been hospitalized for 46 years.

(Representative Higashitani) Data from 630 surveys (mental health and welfare materials) is available.

(Secretary Director Furuya) Once discharged (transferred), the period will be reset. There are still no statistics that reveal the true situation of long-term hospitalization patients.

■Nishinihon Shimbun

―Most psychiatric hospitals in Japan are private hospitals due to management issues.

(Representative Higashitani) Countries that provide community medical care are publicly managed. Japan is privately run and this will not change, so we have no choice but to rely on the power of the judiciary.

-What do you think about the system that requires a guardian (medical protection hospitalization)?

(Attorney Hasegawa) If we look at the relationship between psychiatric care and families, the system in which family members become consenting parties and assume responsibility should be changed. Some people involved in health and welfare administration seem to wonder why it is necessary to talk about this as a ``human right'' when a family member wants to be hospitalized. Families fear that the public will wonder why they are hiding a mentally ill person, and that if they are not hospitalized, they will have no place in their community. And if the family says (if they agree), the hospital will admit them. I think this is the structure that creates long-term hospitalization. Whether it has anything to do with the court case is another matter, but this also has to change.


Five. Future activity policy - Request to journalists Eriko Sugiyama, vice representative of the Institute of Spiritual Health and Welfare

The voices of the people I've met so far, such as, ``I shouldn't have been born?'' and ``I want to live outside the hospital, just for one day,'' are echoing in my head like a running light.

This lawsuit was made possible because Mr. Ito had the great courage to become the plaintiff. Ito's desire is to somehow help the many people who are still in the hospital, whose hopes of being discharged have been dashed over and over again, who have become hopeless and institutionalized, to live as freely and freely as he does. This is a lawsuit filed by Mr. We at Kokubiken feel the same way, and we are positioning this lawsuit as the first one, and plan to file lawsuits in various locations one after another. Therefore, we would like to request that people who have experienced being forced into such unjust forced hospitalization as victims of this country's mental health administrative system become candidates as plaintiffs. Also, as a witness in the trial, I was given the chance to see inside the hospital, which is shrouded in darkness, and where the general public cannot get a glimpse into what they thought and how they lived there. We would love to hear your testimonies from your experience.

Furthermore, under the current medical protection hospitalization system, not only the patient but also their family members are victims who are forced to give consent. There you can see the family crying, saying, ``I feel so sorry for this child, how much I would like to replace him if I could replace him.'' How many family bonds have been destroyed by this system? As a matter of national policy, we would like to pursue the possibility of filing a national compensation lawsuit with the family as the plaintiff in the future.

From October 1st, we will be opening the following telephone number for inquiries. We plan to recruit plaintiff candidates, witnesses, and supporters (new members and supporters). We ask that everyone understand how we are looking for these kinds of people and help us spread the word.

Inquiry counter Tel: 03-6260-9827 (10:00-20:00, rotating staff)

The Mental Health Research Institute is a very small voluntary organization. In order to create ``psychiatric care that anyone in this country can receive with peace of mind,'' we cannot do it alone. I think it is necessary to arouse public opinion. For this reason, I would like to request the efforts of members of the media to widely report on this matter, including the progress of the trial. Our organization, Shinkokokuikeken, actively responds to requests for interviews from reporters. Thank you.

I hope that with your help we can arouse public opinion and win this lawsuit.

(14 reporters in attendance/12 members of the Mental Health Research Institute)


Quote source

Ryuta Furuya “First lawsuit filed – Press conference details” Seishinkokubai Tsushin, No. 10; 1-7, published October 2020

公判予定

Scheduled trial

2021/8/10 10:05

精神国賠訴訟は、2021年3月1日の初公判で原告の伊藤時男さんの意見陳述を行いました。

4月20日、6月29日の公判を終えて、次の公判は9月27日、東京地裁1階の103大法廷で16時からです。傍聴に参加して下さい。原告への何よりの励ましになります。

6月29日の公判において、弁護団は国のこれまでの精神医療政策における不作為責任を徹底追及しました。

これに対して国は、それに対しての反論を準備するためとして、3か月間の準備期間を求めました。

精神国賠弁護団、精神国賠専門部会は精神医療政策遂行上の国の瑕疵や不作為の証拠を集める作業や、憲法学者の支援を得て、精神保健福祉法の違憲性を明らかにするための法理論構成を進めています。

この裁判は、国の精神医療政策を根底的に変える可能性を秘めた裁判です。

引き続き、ご支援をよろしくお願い申し上げます。


東谷幸政




In the psychiatric state redress proceedings, the plaintiff Tokio Ito made a statement at the first trial on March 1, 2021.

After the trial on April 20th and June 29th, the next trial will be on September 27th at 16:00 in the 103rd court on the 1st floor of the Tokyo District Court . Please participate in the hearing. It is the best encouragement to the plaintiff.

At the trial on June 29, the lawyers thoroughly pursued omission liability in the country's psychiatric policy to date.

In response, the state called for a three-month preparation period to prepare for a counterargument.

The Mental Health and Welfare Lawyers and the Mental Health and Welfare Subcommittee are working to collect evidence of national defects and omissions in the implementation of mental health policy, and with the support of constitutional scholars, to clarify the unconstitutionality of the Mental Health and Welfare Law. We are proceeding with the legal theory composition of.

This trial has the potential to fundamentally change the country's psychiatric policy.

Thank you for your continued support.


Yukimasa Higashiya




精神医療国家賠償請求訴訟の現在

Current state of psychiatric state redress lawsuit

2021/4/25 16:23

 精神医療国賠訴訟は、2020年の9月30日に東京地裁に提訴し、2021年3月1日に第1回口頭弁論を行いました。原告の伊藤時男さんと弁護団長の長谷川敬佑弁護士が意見陳述を行いました。

 4月20日には、第2回口頭弁論を行いました。国側が意見を明らかにして、基本的に原告側との対決の姿勢を表明しました。

 今後は、6月29日に第3回の裁判が予定されております。

 国側の反対意見に対する徹底的な反証を行う予定となっています。この裁判の前半戦の山場となりますので、傍聴とクラウドファンデイングへのご協力をお願い申し上げます。

The psychiatric state redress lawsuit was filed in the Tokyo District Court on September 30, 2020, and the first oral argument was held on March 1, 2021. Plaintiff Tokio Ito and lawyer Keisuke Hasegawa made statements.

The second oral argument was held on April 20th. The national side clarified its opinion and basically expressed its stance of confrontation with the plaintiff side.

From now on, the third trial is scheduled for June 29th.

We are planning to make a thorough rebuttal of the dissenting opinion of the country. It will be the peak of the first half of this trial, so we ask for your cooperation in hearing and cloud funding.

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精神医療国家賠償請求訴訟研究会

WEBサイト:https://seishinkokubai.net
お問い合わせ電話番号:03-6260-9827

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